こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
今回、滋賀を調べていて、驚きの数字が出てきました。
滋賀県では、県内19市町すべてにフリースクール利用料の助成制度があります。大津市、彦根市、長浜市、近江八幡市、草津市、守山市、栗東市、甲賀市、野洲市、湖南市、高島市、東近江市、米原市、日野町、竜王町、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町。全部です。
しかも金額が高い。湖南市と守山市は月額上限4万円で、これは東京都の月2万円の倍にあたります。守山市は生活保護受給世帯なら全額、就学援助受給世帯なら4分の3を補助します。
2024年1月の県教委の議事録では「県内6市町」でした。この2年ほどで一気に広がったことになります。
仕組みとしては、県が「フリースクール等民間施設利用者支援事業費補助金」で市町を支え、市町が保護者に助成する形です。県のページにも「詳細はお住まいの市町にご確認ください」と書かれています。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
滋賀のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、畑や料理、ものづくりといった活動が軸になります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
フリースクール昼TRY部(大津市/NPO法人D.Live)
JR瀬田駅から徒歩5分。掲げているのは「自信を失った不登校の子どもたちが、安心できる居場所を持つことで自信とやりたいことを取り戻す」ことです。対象は小学5年生から高校3年生。
開いているのは月曜から金曜の10時から14時。水曜だけは「スタディコース」(個別指導)で10時から15時半です。プチ講義、脳トレクイズ、ボードゲーム、遠足といった活動があります。
出席扱いについては「昼TRY部に来た日が学校の出席として認められるケースが増えてきました(※小中学校に限ります)」と明記されています。
費用は入会金30,000円、週1回が小学生15,000円・中高生20,000円、週2回が25,000円・30,000円、週3回が30,000円・35,000円。ドロップイン(その日だけの利用)が小学生4,000円・中高生5,000円で、まず1日試すこともできます。
そして「TRY部オンライン」があり、全国どこからでも参加できます。保護者向けにもオンラインの「おとなTRY部」や不登校連続講座を開いています。2026年9月2日にも無料体験会の告知が出ていました。
大津オルタナティブスクール トライアンフ(大津市)
京阪びわ湖浜大津駅の近くにあります。運営は一般社団法人異才ネットワーク。
掲げているのは「子どもの『好き』や『得意』を中心にした学びを実践し、精神面情緒面でのサポートを重視」すること。対象は小学生・中学生・高校生以上(通信制高校生のサポートプログラムもあります)。開校は火・水・金の10時から13時です。
出席扱いについては「在籍小中学校の判断により、トライアンフへの出席が学校への出席認定となる場合があります」と明記されています。
費用は入会金20,000円。週1回(火・水・金から選択、年間44回)が小学生14,000円・中学生16,000円・高校生以上18,000円。週2回が26,000円・28,000円・30,000円。週3回が33,000円・35,000円・36,000円。初めて入会する方向けに月2回コース(小8,000円・中9,000円・高以上10,000円)もあります。草津市在住の方は条件により月謝が減額される場合があるとのことです。
日中一時支援事業「トライアンフテトリ」も運営しています。
シャローム学園(大津市)
大津市打出浜にあり、第2教室として南郷教室(2023年4月開室)もあります。NPO法人シャロームが運営。
居場所活動は毎週木曜と隔週火曜の10時から14時(昼食を含む)。体験活動、スポーツ部、個別カウンセリング、親の会、ホームスクーリング支援と幅が広く、学研教室を併設しているので学習支援も受けられます。対象は幼児から高校生です。
出席扱いについての書き方が積極的でした。「即座に学校出席扱いの取り決めについて連絡をとらせていただく方針」と明記しています。
費用は入会金10,000円、利用料が1回4時間で4,000円(子どものみ参加の場合)。別途、昼食代と課外活動の実費がかかります。2026年9月6日にもお知らせが更新されていました。
タイプ2:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
明光フリースクール甲西校(湖南市)
正直にお伝えします。ここは僕が代表を務める会社が運営しているフリースクールです。身内の紹介になるので、事実だけ書きます。
2026年9月に開校したばかりです。湖南市岩根中央のルミエール雅1階。小中学生が対象で、明光義塾の個別指導のノウハウをベースにした学習支援に、プログラミングやeスポーツといった活動を組み合わせています。
費用は入会金22,000円(税込)、ライトコース(週1)20,000円、ステップコース(週3)55,000円、バランスコース(週5)71,500円。
出席扱いについては、ブランドの公式サイトに「毎月発行する学習レポートを学校に提出することで、出席扱いになった事例が多数ございます」と記載しています。
開校したばかりなので、滋賀県の民間施設一覧にはまだ載っていません。湖南市の助成は月額上限4万円と手厚いので、対象施設になるかどうかは市と施設の両方に確認してみてください。
https://freeschool.meikogijuku.jp/school/shiga/konanshi
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
TRY部オンライン(NPO法人D.Live)
前述の昼TRY部が運営するオンラインの居場所です。全国どこからでも参加できます。滋賀県内でも、湖北や湖西など通える距離に施設がない地域の方には現実的な選択肢になります。保護者向けの「おとなTRY部」もあります。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. お住まいの市町の助成の対象施設ですか
滋賀ではこれが最重要です。19市町すべてに制度がありますが、対象施設や要件は市町ごとに決まっています。「この施設はうちの市の助成対象になりますか」と、施設と市町の両方に確認してください。
2. 出席扱いの実績はありますか
これも滋賀では補助に直結します。たとえば大津市の補助は「在籍校の校長からフリースクールの利用を学校への出席として認められている」ことが条件です。出席扱いが先、補助が後という順番になります。
3. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
4. 週に何日、何時から何時まで開いていますか
滋賀は週2〜3日・午前中のみという場所もあります。毎日の居場所がほしいのか、週1回でいいのかで選ぶ先が変わります。
5. ドロップインや月2回コースはありますか
滋賀は入口が丁寧な施設が多い県でした。昼TRY部のドロップイン(小4,000円・中高5,000円)、トライアンフの月2回コース(8,000円〜)。いきなり入会金を払う前に、まず試せる形があるかを聞いてみてください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
滋賀の補助金は、全国でも突出しています
冒頭に書いたとおり、滋賀県内の19市町すべてにフリースクール利用料の助成制度があります。
ただし注意点として、県が保護者に直接お金を出す制度はありません。県の「フリースクール等民間施設利用者支援事業費補助金」は、補助先が「助成を行う市町」です。県→市町→保護者という間接支援の形なので、申請窓口はお住まいの市町になります。
主な市の内容を挙げます。
大津市は「フリースクール等民間施設利用者支援補助金」で、利用料の半額(上限1万円)。入会金、体験活動の費用、交通費は対象外です。条件は、市内在住の小中学生の保護者であること、利用する日の前1か月以内に在籍学級での活動に7日以上参加していないこと、そして在籍校の校長からフリースクールの利用を学校への出席として認められていること。申請時に教育支援センターへ連絡し、公認心理師による「スクラム面談」もあります。学期ごとに通所記録と領収書を報告し、3月終了後に実績報告書を提出、5月ごろに振り込まれます。
湖南市は月額上限4万円(助成対象経費の2分の1または4万円のいずれか低い額)。申請日前1年内に30日以上の欠席、週1日以上の通所、学校への情報提供の承諾、市税の滞納なしなどが条件です。
守山市も月額上限4万円で、しかも補助率が手厚い。生活保護受給世帯は10分の10(全額)、就学援助受給世帯は4分の3、その他の世帯は2分の1です。
長浜市は世帯区分に応じた割合で月1万円が上限。近江八幡市には保護者向けとは別に「フリースクール等民間施設運営支援補助金」(施設向け、対象経費の2分の1以内・1施設200万円限度)もあります。
つまり滋賀では、住んでいる市町によって上限が1万円から4万円まで幅があります。まずお住まいの市町のページを確認するか、教育委員会に電話してみてください。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
繰り返しになりますが、滋賀では出席扱いが補助金の前提になっている市町があります。大津市がその代表です。順番としては、施設を決める→出席扱いの手続きを整える→補助金を申請する、という流れになります。
調べるうえで役に立つのが、滋賀県の「多様な居場所・学びの場等を提供する民間施設・団体の紹介」というリーフレット(2026年4月1日更新)です。「フリースクール」「居場所」「親の会」「その他」の4区分に加えて、公的支援機関の一覧も載っています。
もうひとつ、「滋賀県フリースクール等連絡協議会」という民間のネットワークがあり、登録団体の一覧(2025年6月時点で正会員32団体)を公開しています。県の一覧と合わせて見ると、選択肢の全体像がつかめます。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
滋賀全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に4つの場所を紹介しましたが、前述の県のリーフレットと連絡協議会の一覧には、もっと多くの施設が載っています。まずそちらをご覧ください。お住まいの市町で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの滋賀県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
全国を調べてきて、住む市町村によって補助が出たり出なかったりする県をいくつも見てきました。県内の一部の市にしか制度がなく、隣の市に引っ越せば年間24万円変わる、という地域もありました。そのなかで滋賀は、2年ほどで19市町すべてに制度を広げています。どこに住んでいても支援が届く。この形が全国に広がってほしいと、心から思います。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。






























