こんにちは、小幡和輝です。
僕が生まれ育ったのは和歌山です。そしてこの和歌山で、約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
だからこの記事は、ほかの都道府県よりも少しだけ、個人的な気持ちで書いています。
今回あらためて調べて、うれしかったことがあります。和歌山には、費用の負担がとても軽いフリースクールがあります。和歌山市のレインボーハウスは利用料が無料。新宮市のくまのびは年会費12,000円。全国を調べてきましたが、この水準はほとんど見たことがありません。
県の制度には少し変わったところがあります。和歌山県には「補助金」ではなく「調査協力金」という形の支援があり、月1万円・年最大7万円が出ます。これも後で詳しく書きます。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
和歌山のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、川遊びや畑、ものづくりといった活動が軸になります。和歌山の自然を使った場所があります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
NPO法人レインボーハウス(和歌山市)
まず費用を書きます。居場所の利用料は無料です。2024年4月に「運営協力費」を廃止しました。個別相談もメール相談も無料。親の交流会だけ資料代500円(1家族)がかかります。
掲げているのは「いつ来ても、いつ帰っても、何をしても、何もしなくてもいい」。これ以上ないほど分かりやすい居場所型です。
1997年の開所で、2026年度は30年目。不登校・ひきこもりの子どもと青年、そしてその親を、30年間支えてきた場所です。交流会の対象は小学生から20歳代まで。
開所は原則、火曜10時から15時30分、土曜10時から16時(月により変動・休所あり、073-462-3060)。公式ブログは2026年9月6日にも更新されています。
費用がネックで一歩を踏み出せずにいるご家庭は、まずここに電話してみてください。
タイプ2:体験活動型|自然のなかで取り戻していくなら
デモクラティックスクールくまのび(新宮市)
廃校になった木造校舎を使ったスクールです。熊野川町の山あいにあります。
カリキュラム、テスト、宿題、学年、クラス。そのすべてがありません。日々の過ごし方も、スクールの運営も、全員参加のスクールミーティングで決めます。川遊び、畑、トランポリン。対象は6歳から19歳です。
費用を見て驚きました。メンバーは年額12,000円(「あとはお気持ちで」)。ビジターは登録料が半年1,800円・年3,600円で、参加1回300円(給食+200円)。体験は日帰り500円+給食200円、校舎に泊まる場合は1,000円+食費です。
出席扱いについても明記があります。毎月、在籍校へ出席状況を提出して認定されているとのこと。ただし「出席認定をとるのは義務ではありません」とも書かれていて、認定は校長判断で学校により差があることも正直に説明しています。この誠実さは信頼できます。
ZOOMでの見学も受け付けています。2026年9月20日には新宮市福祉センターとオンライン配信で保護者向けのイベントも開かれていました。
つくるがっこう イホルラ舎(橋本市)
JR和歌山線の高野口駅から南へ徒歩7分。「自分で決める」「みんなで決める」という対話を軸に、木工などの「つくること」と、ICT教材eboardを使った学習支援を並走させています。対象は小学1年から19歳くらいまで。
出席扱いについて、はっきり書いています。「現時点で、所属学校への『出席扱い』を希望するこどもはすべて認められている」。通学定期も希望者全員が認可されているとのことです。
費用は入会金10,000円、フリーパスコース(週4日いつでも)が月40,000円、週1日コース(月5日まで)が月25,000円。きょうだい割引があります。活動費預り金が年20,000円(年度末に精算)、入会前の体験が5,000円(3回)。開校は月・火・木・金の9時15分から16時15分です。
こども食堂と「イホラボ」も運営していて、地域に根を張っている団体です。お知らせも月次で更新されていて、今回調べた和歌山の施設のなかでもっとも情報が新しい場所でした。
タイプ3:学習支援型|高校進学まで見通したいなら
フリースクールいと(橋本市)
橋本市紀見ヶ丘にあります。高野山高等学校 広域通信制課程 普通科マイウェイコースのサポート校(2018年1月開校)を兼ねていて、通信制高校のレポート作成支援が中心です。バーベキューや日帰りキャンプといった季節の行事もあります。宿泊できる「日高セミナーハウス」も運営しています。
橋本市が公表している「不登校支援・子どものひきこもり予防支援の情報」(2026年9月2日更新)に掲載されていて、対象は小1から高3となっています。
ひとつ注意点として、公式サイトの更新が2024年5月で止まっています。橋本市の一覧には現役で載っているので活動は続いていますが、費用も公開されていないので、電話で確認してから動いてください。
タイプ4:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
正直にお伝えします。今回調べた和歌山の施設のなかで、訪問支援やオンライン授業を掲げている場所は見つかりませんでした。くまのびのZOOM見学は、在籍者向けのサービスではありません。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
和歌山は僕の地元なので、地理の感覚があります。紀南も紀中も、山あいの町から通える距離にフリースクールはほとんどありません。僕自身、もし当時オンラインという選択肢があったら、もっと早く動けたかもしれないと思います。近くに場所がない方には、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. 週に何日開いていますか
和歌山ではこれが重要です。週2日の場所も、週4日の場所もあります。県の調査協力金は「原則週3日以上、平日の日中に支援を実施している施設」が対象なので、支援を受けたい場合はここも効いてきます。
3. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。実績はありますか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。イホルラ舎のように「希望する子はすべて認められている」と言い切れる場所もあります。
5. 県の調査研究事業の対象になりますか
和歌山ならではの質問です。県の支援は施設の要件(週3日以上、複数名の職員配置、学校との連携体制など)を満たす必要があります。施設に直接聞いてみてください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
和歌山県の支援は「調査協力金」という形です
和歌山県の制度は、ほかの都道府県とは形が違います。
名称は「フリースクール等に通う不登校児童生徒調査研究事業」。県教育委員会の調査研究(アンケート等)に協力することへの謝金、という建て付けです。つまり厳密には補助金ではなく「調査協力金」です。
そのぶん、領収書の提出や利用料の実額との紐付けが不要という利点があります。
金額は児童生徒1人につき月額10,000円、令和8年度は最大70,000円(2026年7月から2027年1月までの7か月分)。
申請期限は、7・8・9・10月分が令和8年6月11日、11・12月・令和9年1月分が令和8年10月13日です。
対象になるのは、和歌山県内の公立小中学校等に在籍していて、不登校等の状態にあり、フリースクール等に通所している児童生徒。保護者は在籍校と日常的に連絡が取れることが条件です。
施設側にも条件があります。児童の健全育成が目的であること、原則週3日以上・平日の日中に相談・支援を実施していること、職員が複数名配置されていること、在籍校と市町村教育委員会と連携体制を構築できること、教育委員会の情報提供依頼や現地調査に応じられること。
注意点として、予算の上限に達した時点で締め切りになる場合があり、申請しても調査協力者に選ばれない場合があります。
東京都の月最大2万円の助成金と比べると、金額も性格も同等ではありません。ただし、和歌山にはそもそも費用のかからない場所(レインボーハウス)や、年12,000円の場所(くまのび)があります。制度に頼らなくても始められる選択肢がある、というのが和歌山の特徴だと思います。
和歌山市には、フリースクール利用料の補助制度は見当たりませんでした。市がやっているのは公設の「ふれあい教室」(和歌山市立子ども支援センター内、073-402-7830)で、こちらは利用料無料です。2026年4月の市総合教育会議の議事録には「民間のフリースクールに関する情報収集や連携についても検討していきたい」という発言があり、まだ検討段階です。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
和歌山では県が民間フリースクールの一覧を公表していません。県のページ「和歌山県内の不登校児童生徒の学びの場・居場所等について」に載っているのは、市町村が設置する教育支援センター22か所と、市町村教育委員会の連絡先31件だけです。
そのかわり、市町村レベルで公表しているところがあります。とくに橋本市は「橋本市不登校支援・子どものひきこもり予防支援の情報」(2026年9月2日更新)で、イホルラ舎、フリースクールいと、リ・スクール BE WITH、こども未来ベースフラハ、とらいあんぐるカンパニオを、対象年齢と所在地つきで公表しています。お住まいの市町村のサイトも確認してみてください。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
和歌山全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では現在の運営が確認できた場所に絞ったため、紹介したのは4か所です。和歌山にはほかにもフリースクールがあります。お住まいの市町村で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの和歌山県のフリースクールと補助金一覧をご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に|和歌山で不登校だった僕から
僕が不登校だったころ、和歌山にフリースクールはほとんどありませんでした。情報もなかった。親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
あれから20年以上が経ちました。いま和歌山には、無料で開いている場所があり、廃校の木造校舎で年12,000円で過ごせる場所があり、木工をしながら学べる場所があります。少ないけれど、確かにあります。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
和歌山で、いま同じように悩んでいる親子がいたら。どうか一人で抱えないでください。この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























