こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
岐阜を調べていて、まずお伝えしたいのは民間のフリースクールのことではありません。岐阜市立 草潤(そうじゅん)中学校のことです。
2021年に開校した、東海地区で初めての公立の「学びの多様化学校」(旧・不登校特例校)です。掲げているのは「学校らしくない学校」。制服も固定的な校則もなく、担任の先生を生徒自身が選べます。校内のどこで過ごすか、どう学ぶかもオーダーメイド。授業時数も標準より減らした特別の教育課程を組んでいます。全校で40名程度、岐阜市内全域から通えて、公立なので授業料は無償です。
岐阜市にお住まいなら、民間のフリースクールを探す前に、まずこの学校を知っておいてほしいと思います。
そのうえで民間の話をすると、岐阜県にも岐阜市にも、フリースクール利用料の補助制度は見当たりませんでした。ただし県はフリースクールとの連携ガイドラインをつくり、施設の一覧も公表しています。
大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
岐阜のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、古民家での活動や自然のなかでの体験、料理が軸になります。机に向かうことがしんどくなってしまった子でも、活動を通してなら人と関われます。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:体験活動型|自然のなかで取り戻していくなら
フリースクールふらっと(岐阜市・本巣市ほか)
正式には「人と学ぶ場ふらっと」。今回調べた岐阜の施設のなかで、もっとも活動が活発でした。ブログが毎日のように更新されていて、総数463件、フリースクール関連だけで282件あります。
拠点は3つ。駅前ふらっと(岐阜市長旗町)、お山のおうちふらっと(本巣市文殊)、そして愛知県一宮市のふらっと一宮校です。
いちばんの特徴は週2回、本巣市の古民家「お山のおうち」で自然のなかで過ごすこと。元体育教師の代表による運動指導、手作りの昼食、独自通貨、そして「やりたいBOX」という仕組みもあります。対象は小学生・中学生・高校生です。
費用は入会金40,000円(初年度のみ、兄弟割引あり)、年会費30,000円。ワンデーコースが4,400円/日、スタンダードショート(10時〜15時)が月44,000円、スタンダード(週4日・10時〜18時)が月55,000円。ほかに1WEEKトライアルや、入会金不要の「ハッピーアワー」もあります。お山への送迎が300円、昼食が300円です。
同じ法人が精華学園高等学校岐阜校(通信制)と、個別学習教室「学び舎ふらっと」も運営しているので、高校まで見通せます。
ひとつだけ、公式サイト内に出席扱いについての記載が見当たりませんでした。必要な場合は直接確認してください。
タイプ2:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
そら風スクール(高山市)
飛騨地方で探すならここです。運営はNPO法人 風の時代の学校。活動の核が「毎日のお昼ご飯づくり」という点に、この場所の考え方が表れていると思います。異学年の交流、プロによる講座、和太鼓、修学旅行もあります。
対象は小学1年生から中学3年生(定員20名程度、高校生は対象外)。開所は月曜から金曜の10時から15時半(9時から17時の受け入れ可)です。
費用で注目してほしい点があります。入学金・登録料が無料。授業料は1日3,000円、1か月20,000円。食事代が1日550円、1か月5,500円。保険料が月400円(2026年7月から)。
しかもこの金額には理由があります。「R6年度より『高山市こども居場所づくり推進事業』の補助金を受けて授業料を減額しました」と明記されているのです。もとは1日3,500円・月28,000円でした。自治体が施設を支えることで、家庭の負担が下がるという、分かりやすい実例だと思います。
学習面はオンライン教材eboard、岐阜県Webラーニング、在籍校から受け取った教材を使います。学習サポートは全コース追加料金なし。母親支援の安心スペース「どうぞのへや」(2024年10月開設)やカフェも併設しています。
出席扱いについては明記がありませんが、「学籍は居住学区の公立校にあり、保護者の理解と相談の上、スクールでの様子や学習状況を定期的に公立校とやりとりする」と書かれています。連携の下地はあるということなので、相談してみてください。
タイプ3:学習支援型|高校進学まで見通したいなら
岐阜開成学院(岐阜市)
つくば開成高等学校の学習等支援施設で、JR岐阜駅から徒歩10分。高校生向けが本体ですが、中学生コース「ビバ☆マナ」があります。
特徴は少人数・対話型で、午後登校が可能、コースの途中変更もできること。中学内容の学び直しから大学進学まで対応していて、起立性調節障害の生徒向けの専用ページまで用意されています。朝が起きられない子のことを具体的に考えている場所だと分かります。
出席扱いについては、中学生コースで在籍中学校への申請を支援していると明記されています。ただし公式サイトに「2026年9月時点で認められた実績は1件」と正直に書かれています。実績を誇張しないこの姿勢は、むしろ信頼できると思いました。最終判断は在籍中学校の校長です。
費用は中学生コースがビバコース月25,000円、マナコース月19,000円(税込、月・木の15時から19時)。高校段階は岐阜開成コース(週4日)が年480,000円、通学コース(週2日)が年280,000円、通信コース(月3回)が年180,000円。つくば開成高校の学納金は年174,000円ですが、就学支援金の対象で実質0円になります。
タイプ4:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
正直にお伝えします。今回調べた岐阜の施設のなかで、訪問支援やオンライン授業を主軸にしている場所は見つかりませんでした。
ただし岐阜市にはメタバース空間のオンラインフリースペース「みちる~む」があります。市の事業なので費用はかかりません。在籍校か市の教育委員会に問い合わせてみてください。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
岐阜は面積が広く、飛騨・郡上・東濃など通える距離に施設がない地域があります。近くに場所がない方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
岐阜市の「草潤中学校」という選択肢
冒頭に書いたとおり、岐阜市には公立の学びの多様化学校があります。もう少し詳しく書きます。
岐阜市立 草潤中学校は2021年4月、閉校した旧・徹明小学校の校舎を使って開校しました。東海地区で初めての公立の不登校特例校(現・学びの多様化学校)です。
理念は「学校らしくない学校」。不登校を経験した生徒のありのままを受け入れ、一人ひとりに応じたケアと学習環境を提供する、と掲げています。
具体的にはこうです。制服なし、固定的な校則なし。担任を生徒自身が選べる。校内のどこで過ごすか、どう学ぶかもオーダーメイド。iPadを活用し、授業時数は標準より減らした特別の教育課程を組んでいます。
全校生徒は40名程度。岐阜市内全域から通学でき、小学校からの入学も、中学校からの転入もできます。対象は岐阜市内に在住する生徒(住民票だけの市民は不可)。公立中学校なので授業料は無償です。
所在地は岐阜市金宝町4-1(058-263-3801)。
費用面でも、出席の扱いでも、公立であることの安心感は大きいと思います。岐阜市にお住まいなら、まず在籍校か市の教育委員会に相談してみてください。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. 何時から登校できますか
岐阜には午後登校ができる場所(岐阜開成学院)があります。朝が起きられないことが理由で通えなくなっている子には、登校時刻の自由度が決め手になることがあります。
3. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。実績はありますか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。岐阜では出席扱いについて公式サイトに書いていない施設が目立ちました。「出せます」だけでなく、実際の書式や実績を確認してください。
5. 単発やお試しで通えますか
ふらっとにはワンデーコース(4,400円)や1WEEKトライアル、入会金不要の「ハッピーアワー」があります。いきなり入会金4万円を払う前に、まず1日行ってみることをおすすめします。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
岐阜の補助金について、ひとつ注意があります
岐阜県にも岐阜市にも、不登校の小中学生向けのフリースクール利用料補助制度は見当たりませんでした。
ここで間違えやすい点をお伝えします。岐阜市には「多様な集団活動の利用支援事業」という月額上限20,000円の制度がありますが、これは満3歳以上の小学校就学前の幼児が対象で、認可外の幼児教育施設(森のようちえんなど)を想定したものです。不登校の小中学生のフリースクール利用料の補助ではありません。金額が東京都と同じ2万円なので混同されやすいのですが、まったく別の制度です。
県がやっているのは、「岐阜県学校・フリースクール等連携ガイドライン」(令和6年6月更新)の策定と、「岐阜県学校・フリースクール等連携協議会」の設置、そして校内教育支援センター整備促進事業費補助金(学校向け)です。いずれも利用料の補助ではありません。
一方で、市町村レベルでは動きがあります。前述のとおり高山市の「こども居場所づくり推進事業」は、そら風スクールの授業料減額につながっています。施設への補助が、結果として家庭の負担を下げる。この形も有効なやり方です。
費用を抑えたい場合、岐阜では次の順で検討するのが現実的です。まず岐阜市なら草潤中学校(無償)と校内フリースペース、エールぎふ自立支援教室(市内4か所)、オンラインの「みちる~む」。次に放課後等デイサービス(受給者証があれば世帯年収約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料)。そして民間のフリースクールで、単発やワンデーから試す。この順番です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
岐阜で役に立つのが、岐阜県教育委員会の「不登校児童生徒への支援について」というページです。「岐阜県内の義務教育段階の子どもが通う民間施設・団体(フリースクール等)に関する調査結果」を公開していて、令和7年1月末時点で31施設・団体(県内27か所、県外4か所)が回答した内容が載っています。巻末に施設名と所在地の一覧があります。
ただし県は「県内すべての施設を掲載しているわけではない」「県教委が管轄・指導しているわけではない」とも明記しています。目安として使ってください。
もうひとつ、県が「学校・フリースクール等連携ガイドライン」を出していることは覚えておいてください。学校との話し合いで困ったときに、県がどういう方針を示しているかを知っておくと、話が進めやすくなります。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
岐阜全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に3つの場所と草潤中学校を紹介しましたが、前述の県の調査結果には31施設・団体が載っています。まずそちらをご覧ください。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの岐阜県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
草潤中学校のことを調べていて、「担任を生徒が選べる」という一行に驚きました。公立の学校がここまでできる。岐阜市が示したこの形が、ほかの地域にも広がっていってほしいと思います。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























