こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。
福島は、県内のどこに住んでいるかで状況がまったく違う県です。ここを曖昧にして書くと、役に立たない記事になります。ですので先に構造を示します。
いわき市だけが、突出しています。市が不登校支援ポータルサイトを持ち、民間8施設について料金まで含めた情報を公式に公開しています。さらにガイドラインも定めている。全国的に見ても上位です。
一方で、双葉郡には民間施設も教育支援センターも県の一覧に1件も載っていません。南会津地域も同じです。震災と原発事故のあとの人口の動きが、そのまま支援の空白として残っています。
そして、県内の団体自身が出した数字があります。ふくしまフリースクールネットワークの2022年の調査では、県内フリースクール8団体の定員150名に対し、実際の利用は97名。同団体は「県内の不登校児童生徒2,918人(2021年度)のうち、フリースクールと教育支援センターで対応できているのは約20%」と指摘しています。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。
福島のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、自然体験や農業、ものづくりといった活動が軸になります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。福島県には県直営のオンライン支援「roomF」があります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
いわき市|福島で唯一、料金を比べて選べる地域
いわき市は「いわき市不登校支援ポータルサイト」(2024年12月開設)で、民間8施設の所在地・対象・料金・活動内容をPDFで公開しています。さらに「不登校児童生徒を支援する民間施設に関するガイドライン」も定めています。
ただし、市は重要な注意書きをしています。「掲載された施設に通所すれば一律出席扱いになるということではなく、指導要録上の『出席扱い』については個々に判断することになります」。ここは正確に受け止めてください。
Rainbow Kids フリースクール(内郷御厩町)
料金の設計が、福島県内でいちばん良いと思いました。入会金なし。月額5,000円から30,000円で、保護者の収入に応じたスライド制。1日利用は500円から1,500円。対象は3歳から中学生。月〜金の10時から14時30分。学習支援とモンテッソーリの体験活動が柱です。
収入に応じてスライドするというのは、制度でやるべきことを施設が自前でやっているということです。補助金がない県では、これが最後の防波堤になります。
山の中フリースクール(田人町/田人里山再生委員会)
毎週水曜の9時から16時。自然体験、ヤギの世話、キャリア教育。対象は7歳から15歳。費用は月謝12,000円、1日利用4,500円、賛助会員費5,000円(年度更新)。
週1回という形が、実は入口として優秀です。いきなり週5日は無理でも、水曜だけなら行けるかもしれない。そしてヤギの世話は、勉強と違って、やればすぐ結果が見えます。
いわき自主夜間中学(平字梅香町/平第二小 マナビィ館)
年会費2,000円のみ。入会金も授業料もありません。実質無料です。火・木の13時から17時、土曜は17時から21時。マンツーマンの学習支援で、対象は小学生以上(学び直し、外国籍の方、不登校の方)。
年2,000円で、マンツーマンで勉強を見てもらえる。経済的に厳しいご家庭にとって、これは知られるべき選択肢です。そして土曜の夜という時間帯も特徴的です。
TERAKOYA GAMP(平下神谷)
農業体験、国際交流、宿泊型の居場所。金曜から月曜(長期休暇中は毎日)。対象は小学生から25歳。
料金体系が独特です。冒険タイム(3時間以内)が一般3,000円/支援1,500〜2,000円。冒険デー(6時間)が一般6,000円/支援3,000〜4,000円。冒険ステイ(1泊)が一般9,500円/支援5,000〜6,500円。
「一般」と「支援」で価格を分けているのも良い設計です。そして宿泊できるというのが大きい。家の空気が重くなっているとき、一晩離れられる場所があることには意味があります。
ちゃいるど・けあ・Ohana(泉玉露)
2026年4月1日設立の新しい施設です。無学年方式で5教科の学習支援+体験活動。火・木・金の10時から14時。入会金10,000円、1回3,000円、回数券11回30,000円、通い放題(月謝)20,000円(学研教材を使う場合は月2,000円割引)。対象は小学生・中学生。
こども総合知育研究所ドリームホープ(平作町)
学習支援+食育、屋外活動、留学プログラム。入学金11,000円、月謝は週1回17,600円・週2回25,300円・週3回30,800円。チケット1回4,500円。月(火)・水・木の10時から13時30分。対象は小学生以上。
松陰塾 泉もえぎ台校/いわき郷ケ丘校
完全個別指導の学習塾系です。入塾金11,000円、月謝16,170円から42,460円、システム教材費3,630円。月〜金の9時から21時。郷ケ丘校は萩明倫館高校のサポート校も兼ねています。
朝9時から開いているのがポイントです。学校の時間帯に行ける塾は、不登校の子にとって日中の居場所になります。
会津|寺子屋方丈舎が中核です
フリースクール@会津(会津若松市大町/NPO法人寺子屋方丈舎)
火曜から土曜の10時30分から17時。こどもミーティング、調理、創作といった活動があります。対象は7歳から18歳。
そして入会前に3回まで無料体験ができます。これは大きい。子どもが判断できるのは、たいてい3回目からです。1回の見学で「どうだった?」と聞いても答えられません。
学校連携について、公式に「教育機会確保法に基づき、学校へ学習・活動内容を報告する」(本人・保護者の許諾が前提)と書いています。福島県内で、ここまで明確に書いている施設は多くありません。
この団体は郡山(フリースクールトレーラー)といわき市田人町(山の中フリースクール)にも展開していて、県内の空白を1団体が埋めている構図になっています。
フリースクールトレーラー@郡山(郡山市富久山町/「福島コトひらく」内)
時間割なし、予約制で月・水の10時から16時。対象は小学生から高校生。月利用33,000円、日利用3,000円、賛助会員費2,000円(年)。そして家庭の状況に応じた減免があります。
県内でいちばん高い水準の月謝ですが、減免があると明言している点を見てください。払えない家庭を排除しない、という意思表示です。
中通り|郡山・福島市・県南
にじいろ東都学園フリースクール(郡山市図景/学校法人こおりやま東都学園)
国数英の学習支援に加え、社会参加支援と生活力の習得。対象は小学1年生以上。入会金30,000円、月20時間まで10,000円、月21〜40時間は+10,000円、月40時間以上は+20,000円(別途活動料)。見学は3回無料です。
時間数に応じた料金という形は、通える日数が読めない段階のご家庭には合理的です。
フリースクールビーンズふくしま(福島市八木田)
居場所を中心にした活動で、対象は小学生から概ね20歳まで。フリースクール全国ネットワークの加盟団体です。料金は確認が取れませんでしたので、直接お問い合わせください。
NPO法人あだたら青い空(二本松市岳温泉)
森のようちえん、こども食堂を併設した体験活動型です。多くのプログラムが参加無料。岳温泉という土地柄、自然のなかでの活動が中心です。
ひろえ塾フリースクール(郡山市喜久田町)
発達障害に対応した学習支援が中心です。料金は「月謝はなく、通う頻度と時間により個別提案」という形で、金額は非公表です。対象は小・中・高校生年代。
フリースクールわくわく(白河市新白河)
県南エリアの居場所型で、フリースクール全国ネットワークの加盟団体です。対象は小・中・高校生年代。
相双・双葉郡|ここが福島最大の空白です
正直に書きます。相馬・南相馬・新地には民間2施設(マチエール、コモンズしんち)のみ。そして浪江、富岡、大熊、双葉、楢葉、広野、川内、葛尾、飯舘には、県の一覧に民間施設も教育支援センターも1件も掲載されていません。
これは、震災と原発事故のあとの人口の動きがそのまま残っている結果です。この地域にお住まいの方は、オンラインか、県のroomFが現実的な選択肢になります。次の項で説明します。
なお南会津地域(南会津町・下郷町・只見町・檜枝岐村)も同じ状況で、確認できたのは保護者の会「たまりば」と「ユースプレイスin南会津」のみです。
タイプ:オンライン型|通える場所が近くにないなら
roomF(福島県不登校児童生徒支援センター・県直営)
民間ではなく県の事業ですが、先に紹介します。福島県が直営で、オンラインを活用した相談・学習・交流支援を行っています。対象は県内の小・中学生。
024-554-1830/[email protected](福島市瀬上町五月田16/県教育センター内)
県が自前でオンライン支援を持っている例は、全国的に多くありません。双葉郡、南会津など、近くに何もない地域にお住まいの方は、まずここに電話してください。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
近くに通える場所がない地域にお住まいの方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。ただし先にroomF(無料・公的)を確認してください。順番として、そこからです。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 減免やスライド制はありますか
福島ではこれを最初に聞いてください。県にも市町村にも利用料の補助がないので、施設側の料金設計がそのまま家計に効きます。Rainbow Kidsは収入に応じたスライド制、トレーラー@郡山は家庭の状況に応じた減免、TERAKOYA GAMPは「一般」と「支援」で価格が分かれています。公表されていなくても、聞けば相談に乗ってくれる施設はあります。
2. 体験は何回できますか
フリースクール@会津は入会前3回まで無料、にじいろ東都学園は見学3回無料です。子どもが判断できるのは、たいてい3回目からです。1回で決めさせないでください。
3. 在籍校への報告書は出せますか
福島では、ここを慎重に確認してください。今回調べた範囲で、「出席扱いの実績あり」と明記している施設はありませんでした。いちばん踏み込んでいるのが寺子屋方丈舎の「教育機会確保法に基づき学校へ報告する仕組みがある」という表現です。そしていわき市は公式に「掲載=出席扱いではない、個々に判断」と釘を刺しています。過度な期待をせず、学校と直接話を進める準備をしてください。
4. 冬はどうなりますか。送迎はありますか
福島は会津・中通り・浜通りで気候がまったく違います。会津は豪雪地帯です。雪のあいだの開所日と送迎の有無を、先に聞いてください。
5. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。県内の団体自身が「定員150名に対し実利用97名」と公表していますので、空きはある可能性が高いですが、同年代がいるかは別問題です。必ず確認してください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
福島の補助金について。ここは正確に書きます
福島県にも、いわき市・郡山市・福島市・会津若松市などの主要市にも、フリースクールの利用料を補助する制度は確認できませんでした。
そして、ここで注意してほしいことがあります。福島県には「こどもの居場所づくり支援事業補助金」という制度があり、名前だけ見ると使えそうに見えます。でも違います。
この補助金は非営利の法人・団体向けで、内容は次のとおりです。こどもの居場所を新たに開設する事業に、補助率5分の4以内・上限30万円。広域的に支援する事業に、補助率5分の4以内・上限80万円。
家庭が払う月謝が下がる制度ではありません。運営者が新しく居場所を開くための補助です。
ただし、この制度に意味がないわけではありません。要件に「無料または低額で利用可能」が入っています。つまりこの補助を受けた居場所は、安く使えるということです。令和8年度は第2期の募集が8月14日から10月16日まで行われています。新しい居場所がこれから増える可能性があります。
そのうえで、費用を抑える方法を3つ挙げておきます。
ひとつめ、市町村の教育支援センターです。福島県には45か所、28市町村にあります。公立なので原則無料。
特筆すべきはいわき市の「チャレンジホーム」8か所(平・中央台・大浦・内郷・小名浜・泉・磐崎・植田)です。ひとつの市に8か所というのは全国的にも多い。さらにいわき市は総合図書館内に学習支援ルーム(10時から17時45分、ICT環境あり、平日スタッフ常駐)も設けています。
ほかにも田村市「まごころ教室」5拠点(本室+滝根・大越・常葉・船引南分室)、伊達市「あおば教室」3拠点、南相馬市3か所など、広い自治体では分室展開をしています。
ひとつ注意です。「喜多方フリースクール」という名前の施設がありますが、これは民間ではなく喜多方市立の教育支援センターです(喜多方市押切2-1/0242-24-4611)。名前で誤解しないでください。公立なので無料で使えます。
ふたつめ、roomF(県直営・オンライン)。前述のとおりです。
みっつめ、放課後等デイサービス。発達に特性があって受給者証が取れる場合、世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
福島では、市町村によって対応に差があります。ふくしまフリースクールネットワークの調査(32市町村回答)では、出席扱いを認める21、認めない1、校長判断2、その他8という結果でした。そして認定のガイドラインを設けているのは会津若松市、郡山市などとされています。
つまりお住まいの市町村に、まず「ガイドラインはありますか」と聞くのが近道だということです。
具体的に確認できているものを挙げます。
いわき市は「不登校児童生徒を支援する民間施設に関するガイドライン」を公表しています。郡山市は「不登校児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いガイドライン」を公表しています(総合教育支援センター)。
郡山市のガイドラインは自宅でのICT学習が対象です。つまり家から出られない段階でも、出席扱いになりうるということです。これは知っておく価値があります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしている場所に「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に相談します。そのうえで、毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
福島にはもうひとつ選択肢があります。棚倉町の学びの多様化学校です。令和7年(2025年)4月、棚倉中学校の分教室として開室しました。県内でこれ1校です。学びの多様化学校は、不登校の子のために時間割や授業時数を国の認可のもとで変えられる正式な公立学校で、通えば当然「出席」になります。詳細は棚倉町教育委員会に確認してください。
そして福島市立福島第四中学校「天神スクール」(福島市天神町11-31/024-535-6601)は県内唯一の公立夜間中学で、不登校経験者の学び直しの場としても案内されています。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
福島全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では、県の「子どもに関する相談窓口」(令和8年3月31日更新/フリースクール等21施設)と、いわき市不登校支援ポータルサイト(民間8施設)で確認できた場所を中心に紹介しました。お住まいの市町村から探したい方は、明光フリースクール公式メディアの福島県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
福島を調べていて、手が止まったのは双葉郡の空白でした。浪江、富岡、大熊、双葉、楢葉、広野、川内、葛尾、飯舘。民間施設も教育支援センターも、県の一覧に1件もない。
でも同時に、寺子屋方丈舎が会津から郡山、そしていわきの田人町まで出ていっていることも知りました。ひとつの団体が県内を横断して、空いているところに場所を作りに行っている。制度が届かないところに、人が行っているということです。
いわき市が料金まで公開したのも、誰かが「保護者が比べられるようにしよう」と決めたからです。福島の支援は、いま誰かが手で作っている途中です。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























