こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
石川を調べていて、印象に残ったことが2つあります。
ひとつは、金沢に「午後から通える」フリースクールがあること。12時半に登校して16時に下校という設計で、朝が起きられない子のことを考えてつくられています。不登校の入口が「朝、起きられない」であるご家庭は多いので、これはとても実際的だと思いました。
もうひとつは、能登半島地震の影響です。七尾市にあったフリースクールは、運営母体のサイトが2026年7月に食品事業のみに刷新され、フリースクールの記載が消えていました。地震との関係は分かりませんが、被災地の学びの場が減っていることは事実です。
石川県にも金沢市にも、フリースクール利用料の補助制度は見当たりませんでした。ただし2026年1月には金沢市がメタバースを使ったオンライン教育支援センターを開設するなど、動きは出ています。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
石川のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、薪割りや川遊び、農作業、DIYといった活動が軸になります。机に向かうことがしんどくなってしまった子でも、活動を通してなら人と関われます。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:居場所型+学習支援|バランスよく見たいなら
LYHTY school -IRORI-(金沢市)
金沢市山の上町の古民家をDIYした学び場です。2016年開校で約10年。「自由・自主的な学び場」を掲げていて、時間割はほとんどなく、各自がオーダーメイドで過ごします。ただし毎日45分の個別学習タイムだけは固定(月曜を除く)。自由だけれど学習の時間は確保する、というバランスの取り方です。
対象は小学校から高等学校の学齢期(18歳まで)。開いているのは月曜から金曜の10時から16時です。
費用がすべて公開されているのも好感が持てます。入会金39,800円(1回限り)、月額39,800円、兄弟2人目以降は34,800円。単発利用チケットが14,800円(1枚で同月内2回まで)、体験チケットが4,980円(最大3回)。延長は朝400円・夕800円、ランチ300円、学習タブレットが月2,980円です。
出席扱いについては「フリースクールへ行くことで、学校へ行ったのと同じ扱い(出席扱い)にすることができます」と明記されています(在籍校の校長の許可が必要)。
同じ法人が放課後等デイサービス「ともしびの家」も運営しているので、発達支援との連携や併用ができるのも強みです。
タイプ2:体験活動型|自然のなかで取り戻していくなら
ワンネススクール(金沢市・白山市)
2つの校舎を使い分けているのが特徴です。金沢校舎(久安)は屋内活動と集合の場所、鳥越校舎(白山市の旧鳥越村)は屋外活動の拠点。薪割り、川遊び、農作業、生活合宿、文化祭といった活動をします。
対象は小学5年生ごろから18歳ごろまで(4年生以下も個別相談で受け入れた実績あり)。2026年9月から活動日が月曜から木曜の最大4日になりました。
出席扱いについては「基本的には学校長の判断ですが、今までほとんどのフリースクール生は学校の出席扱いとなっています」と明記されています。
費用は非公開で「まず問い合わせ・相談のうえでお伝えしています」という方針です。ただし体験チケットは公開されていて1日2,000円×3枚つづり(6,000円)。まず体験から始められます。
もうひとつ知っておいてほしいのが、中高生向けの無料自習スペース「ふらっとRoom」です。毎週金曜と第2・4火曜の16時から19時、予約不要・無料。2026年9月に始まったばかりです。フリースクールに入会しなくても使える場所があるというのは、大きなことだと思います。
ワンネススクールは能登半島地震の支援活動も続けていて、富来や志賀の放課後児童クラブへのボランティアなどを行っています。ほかに親の会、ワンネス高等学院、就労支援「ムーブ」、寮もあります。
パトリ(金沢市)
冒頭に書いた午後型の場所です。IR西金沢駅から徒歩4分。12時半に登校して16時に下校という時間設定を「朝が苦手な子向け」と公式に明記しています。
もうひとつの特徴が「小中高大一貫」であること。フリースクール部門(小中学生)に加えて、高校は精華学園高校(通信制)、大学は星槎大学(通信制)、さらにキャリアスクール(プレ社会人)と昼の学習塾まで持っています。小中高大の生徒が一緒に活動する「縦型スタイル」なので、年上のロールモデルが身近にいます。
活動は畑体験、クッキング、DIY(木工・溶接・3Dプリンタ)、プログラミング、アート、クリーンビーチなど。探究と体験が中心です。
出席扱いについては「小中学生は地元学校に在籍したまま通います。出席日数にカウントされるケースがほとんどです」と明記されています。費用は公開されていないため問い合わせが必要です。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
正直にお伝えします。今回調べた石川の施設のなかで、訪問支援やオンライン授業を明確に掲げている場所は見つかりませんでした。
ただし金沢市には、2026年1月28日に開設されたメタバース活用のオンライン教育支援センター「そだちLink」があります。金沢市内在住の不登校の小中学生が対象で、費用は無料です。市の教育プラザにある「そだち」(そだち富樫・そだち此花、076-243-0874)に問い合わせてみてください。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
石川は施設が金沢周辺に集中しています。能登方面など通える距離に場所がない地域にお住まいの方、冬の通学が負担になる方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 何時から何時まで開いていますか
石川ではこれを最初に確認してください。午後型のパトリのように、時間設定そのものが子どもへの配慮になっている場所があります。朝が起きられないことが理由で通えなくなっている子には、午後からの場所が突破口になることがあります。
2. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
3. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
4. 冬はどうなりますか
石川ならではの質問です。雪の日の扱い、送迎の有無、休んだ日の費用。冬を越せるかどうかで続けられるかが変わります。
5. 単発や体験で試せますか
石川は体験の設計が丁寧な県でした。IRORIは体験チケット4,980円(最大3回)と単発チケット14,800円、ワンネススクールは体験チケット1日2,000円×3枚。いきなり入会金を払う前に、まず何日か行ってみることをおすすめします。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
石川の費用について、正直に書きます
石川県にも金沢市にも、フリースクール利用料の補助制度は見当たりませんでした。石川県教育委員会が出している「不登校児童生徒の保護者のための支援ガイド」(令和8年4月現在)にも、利用料補助の記載はありません。
ただし動きはあります。2026年1月、県内のフリースクール事業者が馳知事に対して、利用世帯向けの補助金導入を要請したと報じられています。金沢市の教育委員会でも「フリースクールは送迎や費用で保護者の負担が大きい」という議論がされていて、東京都の制度を参照しながら検討が進んでいる段階です。
県にある関連制度としては、「被災地の子どもの居場所づくり活動促進事業」があります。七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町などの被災地を対象に、フリースクールなどの居場所づくり活動をする団体に上限50万円を補助するものです。ただしこれは団体向けで、保護者の利用料補助ではありません。
では、どうするか。現実的な手は3つあります。
ひとつめは金沢市の「そだちLink」(オンライン、無料)や教育プラザの「そだち」を先に確認することです。費用がかからず、出席の扱いもはっきりしています。
ふたつめは単発・体験を使い倒すことです。前述のとおり石川は体験の設計が丁寧なので、いきなり月額契約をしなくても試せます。ワンネススクールの無料自習スペース「ふらっとRoom」のように、費用ゼロで使える場所もあります。
みっつめは放課後等デイサービスです。発達に特性があって受給者証が取れる場合、費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料になります。IRORIのように放課後等デイサービスを併設している法人もあるので、併用の相談もできます。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
石川では県が民間施設の一覧を公表していないため、実績のある施設を選ぶことが重要になります。この記事で紹介した3か所は、いずれも出席扱いについて具体的に書いています。IRORIは「学校へ行ったのと同じ扱いにすることができます」、ワンネススクールは「今までほとんどのフリースクール生は学校の出席扱いとなっています」、パトリは「出席日数にカウントされるケースがほとんどです」。この書き方の具体性が、実績の裏づけになります。
民間のネットワークとして「不登校サポートネット石川(ふとサポ)」もあります。入会金・年会費はかからないので、情報を集めるのに使えます。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
石川全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では現在の運営が確認できた場所に絞ったため、紹介したのは3か所です。石川にはほかにもフリースクールがあります。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの石川県のフリースクールと補助金一覧をご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
石川を調べていて、金沢のフリースクールが能登の子どもたちの支援に通い続けていることを知りました。自分たちの運営だけでも大変なはずなのに、被災地に足を運んでいる。そういう人たちが、この県の学びの場を支えています。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























