こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。
今回、高知については正直に書かなければならないことがあります。高知県も高知市も、民間のフリースクールの一覧を公表していません。そして調べても、いま確実に運営していると確認できる民間施設を十分に特定できませんでした。
47都道府県を全部調べてきて、ここまで民間の情報が見えない県は珍しいです。ですので、この記事では嘘の一覧を作りません。かわりに、高知で実際に使える選択肢を、公的な支援を中心に整理します。
そして先に結論を言うと、高知の公的支援は、全国的に見てもかなり充実しています。民間が見えないぶん、県と市が自分たちで受け皿をつくってきた県です。「民間のフリースクールが見つからない」と落ち込む必要はありません。順番が違うだけです。
高知で最初に見るべきは、民間ではなく公的な選択肢です
他県向けの記事では「まず4つのタイプから選びましょう」と書いてきました。高知では順番を変えます。まず公的な受け皿を見て、それで足りなければ民間・オンラインを探す。これが高知では現実的です。
学びの多様化学校「SOLA(そら)」
高知には学びの多様化学校があります。旧「不登校特例校」と呼ばれていたもので、不登校の子どものために教育課程を特別に編成できる、正式な公立学校です。
これがどれだけ大きいか、説明させてください。
普通の学校では、時間割も授業時数も法律で決まっています。「朝は10時から」「授業は1日4時間」といった編成はできません。学びの多様化学校は、それを国の認可のもとで変えられる学校です。ゆとりのある時間割、少人数、体験を多く取り入れた授業。そしてそこに通えば、当然それは「出席」です。出席扱いの交渉そのものが要りません。
全国でもまだ100校に届かない数しかありません。高知にそれがあるというのは、他県から見れば恵まれています。
Kochi Teens Base(こうちティーンズベース)
10代のための居場所として、行政が関わる形で運営されています。学校にも家にも居場所がない、という段階の子が、まず行ってみる場所として機能します。
民間のフリースクールを探して見つからなかった方は、ここに一度問い合わせてみてください。その地域で子どもを受け止めている大人につながることが、次の選択肢に出会う近道になります。
こころのオンラインサポート(無料)
高知県が実施している、オンラインでの支援です。しかも無料。
高知は東西に長く、山がちで、市町村によっては通える範囲に施設が何もありません。その現実を踏まえて、県がオンラインの受け皿を自前で用意している。これは合理的な判断だと思います。
「近くに何もない」とあきらめる前に、まずこれを試してください。無料なので、合わなければやめればいいだけです。
市町村の教育支援センター(適応指導教室)
高知市をはじめ、各市町村に設置されています。公立なので原則無料です。在籍校を通して申し込むのが一般的なので、まず担任の先生に「教育支援センターに行ってみたい」と伝えてください。
教育支援センターは「学校に戻すための場所」という印象を持たれがちですが、実際の運営は場所によってかなり違います。ゆるやかに過ごせるところもあります。一度見学してから判断してください。
民間のフリースクールを高知で探すには
県が一覧を出していないので、探し方そのものをお伝えします。
ひとつめは、在籍校のスクールソーシャルワーカーに聞くことです。スクールカウンセラー(心理職)ではなく、ソーシャルワーカー(福祉職)です。地域の資源につなぐのが仕事なので、公表されていない民間の居場所を知っていることがあります。「学校以外の居場所を探しています」と伝えてください。
ふたつめは、市町村の教育委員会に直接聞くことです。一覧は公表していなくても、窓口は個別の情報を持っています。「この地域で、不登校の子が通えるところはありますか」と電話で聞くだけで、状況が動くことがあります。
みっつめは、親の会です。実際に子どもを通わせている保護者が、いちばん正確な情報を持っています。ホームページに載っていない「実は最近できた場所」や「いま受け入れを止めている場所」まで知っています。
遠回りに見えますが、高知ではこの3つが、ネット検索よりずっと確実です。
オンラインという選択肢
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
高知のように、民間の施設が少なく、地理的にも通いにくい県では、オンラインの価値が他県より大きくなります。四万十市、室戸市、梼原町など、近くに選択肢がない地域にお住まいの方には、現実的な入口だと思います。
もちろん、県の無料オンライン支援を先に試してもらってかまいません。まず無料で試して、足りなければ有料を検討する。その順番が正しいと思います。
見学・問い合わせのときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. いまも運営していますか。受け入れは可能ですか
高知ではこれを最初に聞いてください。県が一覧を公表していないため、ネット上には閉じた施設の情報が残り続けています。検索で見つけた場所に行く前に、必ず電話で「いま受け入れていますか」を確認してください。これは高知に限った話ではありませんが、高知ではとくに重要です。
2. 学びの多様化学校(SOLA)に入るには、どうすればいいですか
これは学校や教育委員会に聞いてください。通学区域、入学の時期、定員、手続きの流れ。普通の転校とは手続きが違います。年度途中の受け入れができるかどうかも、早めに確認する価値があります。
3. 在籍校への報告書は出してもらえますか
民間施設を検討する場合の必須確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式や実績まで聞いてください。公的な施設(教育支援センター、学びの多様化学校)を選ぶ場合、この手続き自体が不要になります。それも選択肢の一つです。
4. 送迎はありますか。ない場合、どう通うのが現実的ですか
高知は移動距離の問題が大きい県です。片道1時間を週5日、親が送迎し続けられるか。ここを甘く見積もると、半年で家族が疲れます。公共交通で通えるか、送迎があるかは必ず確認してください。
5. いま何人くらい来ていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
高知の補助金について。ここは要注意です
高知県には、フリースクールに関する補助制度があります。ただし誤解されやすい形なので、正確に書きます。
高知県の補助は、フリースクールを運営する側に出るお金です。保護者が払う月謝が直接安くなる制度ではありません。金額は年間上限75万円。そして交付の要件のなかに、「出席扱いと認められている通所者がいること」という条件が含まれています。
この設計は、実はよく考えられていると思います。運営費を支えることで施設が続き、かつ「学校と連携して出席扱いを取れている施設」であることを条件にしている。補助を受けている施設は、学校との連携実績がある施設だということになります。
ですので保護者の方は、施設に「県の補助事業の対象になっていますか」と聞いてみてください。対象なら、出席扱いの実績がある可能性が高いということです。お金の話としてではなく、施設を見極める材料として使えます。
高知市を含め、保護者向けの利用料補助制度は確認できませんでした。愛媛県の松山市には月1万円の補助がありますが、高知には同様の制度が見当たりません。
費用を抑える方法としては、次の順で考えるのが現実的です。まず教育支援センター(無料)。次に県のオンライン支援(無料)。学びの多様化学校に通えるなら公立なので授業料はかかりません。そのうえで民間やオンラインを検討する。
発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスも選択肢です。世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしている場所に「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
ただし高知の場合、この交渉をしなくていい道があります。学びの多様化学校に通えば、そこが在籍校になるので出席扱いの交渉は不要です。教育支援センターも、出席扱いの運用がすでに確立しています。
民間施設を探して、そのうえで学校と交渉して、という順番は保護者にとって重い作業です。高知では、その負担を負わなくていいルートが先に用意されている。これは高知の強みだと思ってください。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
高知全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では、確認が取れた公的な支援を中心に整理しました。民間施設については、県による一覧の公表がないため、この記事に載せきれていない場所があります。お住まいの市町村から探したい方は、明光フリースクール公式メディアの高知県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
高知を調べていて、最初は「情報がない県だ」と思いました。でも調べ進めるうちに見方が変わりました。民間の一覧がないのは、県が民間に任せずに自分で受け皿をつくってきたからという側面があります。学びの多様化学校、無料のオンライン支援、10代の居場所。これは他県がうらやむ体制です。
だから高知にお住まいの方には、こう言いたいです。ネットで検索して何も出てこなくても、それはあなたの県に何もないという意味ではありません。窓口は、あります。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























