こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
今回、三重を調べていて、目を引いた一文がありました。
「オープン以来20年間、在籍する学校長のご判断で全員の小中学生が学校の”出席扱い”になっています」。津市のフリースクール三重シューレの公式サイトに書かれている言葉です。20年間、全員。これだけはっきり言い切れる場所は、全国を調べてきてもそう多くありません。
もうひとつ、三重には返済不要の給付型奨学金があります。これも後で書きます。
三重県にはフリースクールの利用料支援制度があります。月額上限15,000円(利用料の2分の1)。ただし所得の要件があるので、そこは正確にお伝えします。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
なお2019年に紹介していた5か所のうち2か所は、現在は活動を休止していました。施設の情報は2026年9月に公式サイトと三重県の公表資料で確認しています。
三重のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、自然のなかでの活動やものづくりが軸になります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
フリースクール三重シューレ(津市)
津駅の西口から徒歩3分。認定NPO法人が運営しています。
掲げている方針が独特です。「評価をしない」。そして運営の決め事は週1回の民主的なミーティングで決めます。子どもたちが自分たちの場所を自分たちで運営する、という形です。対象は小学生から高校生、20歳前後の若者まで。
そして冒頭に書いたとおり、出席扱いについて「オープン以来20年間、在籍する学校長のご判断で全員の小中学生が学校の”出席扱い”になっています」と明記されています。学校との関係づくりを20年積み重ねてきた結果だと思います。
費用は入会金150,000円(入会月のみ)、月会費34,000円、NPO正会員の年会費5,000円。通信制の学習サポートを希望する場合は月10,000円。入会金が高めですが、ここには返済不要の給付型奨学金があります。三重県遊技業協同組合の支援によるもので、入会金と月会費の半額(月17,000円)が3年間支給されます。費用がネックだと感じたら、必ず相談してみてください。
通信制の代々木高校と連携しているので、高卒資格の取得まで見通せます。
フリースクールいせのもり(伊勢市)
伊勢市桜木町にあります。運営は安藤塾(株式会社安藤塾)。
目的がはっきりしていて、学校復帰を目的にしていません。「引きこもりを避け、社会との接点の場」「通う人の自立」を目的に掲げています。カリキュラムはなく、いつ来ていつ帰ってもいい。対象は小学生・中学生・高校生です。
費用の設計が親切です。週1日コース月11,000円、週2日コース月16,500円、通常コース月22,000円(すべて税込)。そして「ホームコース」という訪問が1時間1,650円であります。
出席扱いについては「学校への出席扱いについては、学校長の判断となります」と明記し、在籍校への活動報告や担任との連携は行うとしています。三重県の補助対象施設の一覧にも入っています。
タイプ2:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
フリースクール サードプレイス(四日市市)
近鉄川越富洲原駅から徒歩5分。2016年4月開設で10年目です。
開設当初は居場所づくりが中心でしたが、現在は完全個別の学習支援が中核になっています。元教員による教育相談やカウンセリング、表現・対話の授業もあり、通信制の代々木高校四日市教室を併設しています。対象は小学生から高校生(大学の推薦入試対策にも対応)。
費用は完全個別学習支援の月謝が、小学生の週1回70分で14,000円、小学校高学年・中学準備の週1回90分で18,000円、中学生の週1回90分で22,000円、高校生の週1回90分で25,000円。フリースクール(通い放題型)の料金は公開されていないので、問い合わせが必要です。
出席扱いについても公式サイトに明記はありませんが、三重県の補助対象施設の一覧に入っています。この一覧は「指導要録上、出席と認められている利用者がいること」が要件なので、実績はあるということになります。
ブログは2026年9月12日にも更新されていました。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
いせのもりの「ホームコース」(伊勢市)
前述のとおり、いせのもりには1時間1,650円の訪問コースがあります。今回調べた三重の施設のなかで、訪問を明示している唯一の場所でした。
まず家に来てもらい、慣れてきたら通う日をつくる。そういう段階的な進め方ができます。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
ただし三重で利用する場合、ひとつ知っておいてほしいことがあります。三重県の利用料支援事業は、オンラインのフリースクールを対象外としています。補助を前提に考えている場合は、通所型を選ぶ必要があります。
そのうえで、東紀州や伊賀など通える距離に施設がない地域にお住まいの方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 県の支援事業の対象施設ですか
三重ではこれを最初に聞いてください。県の利用料支援は「県教育委員会が指定した施設」のみが対象で、2026年5月時点で22施設(6月に2施設追加)です。対象外の施設を選ぶと補助は受けられません。
2. 出席扱いの実績はありますか
これも重要です。県の指定を受けるには「指導要録上、出席と認められている利用者がいること」が要件になっています。三重シューレのように「20年間全員」と言い切れる場所もあります。
3. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
4. 奨学金や減額の制度はありますか
三重シューレには返済不要の給付型奨学金があります。所得の条件で県の補助が使えない場合でも、こうした独自の仕組みがあるかもしれません。聞かなければ教えてもらえないことが多いので、遠慮せず確認してください。
5. 途中でやめたくなったとき、費用はどうなりますか
三重は入会金が高めの施設があります。合わなかったら変えていい。そのときにお金が足かせにならないかを、先に確かめておいてください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
三重の支援制度は、所得要件に注意してください
三重県には「フリースクール利用料支援事業」があります。2026年度(令和8年度)も実施中で、受付は5月12日から随時です。
金額は利用料の2分の1、児童生徒1人につき月額上限15,000円(100円未満切り捨て)。
ここから条件を正確に書きます。まず在籍の要件として、次のいずれかに当てはまる世帯であること。県内の公立小中学校に在籍する児童生徒がいる/県立学校(高校・特別支援学校、通信制を除く)に在籍する生徒がいる/県立学校を中退した高校生年代の人がいる県内在住世帯/公立中学卒業後に進路が決まっていない高校生年代の人がいる県内在住世帯。
そして経済の要件があります。ここが東京都との最大の違いです。生活保護受給世帯、就学援助受給世帯、保護者全員の道府県民税・市町村民税の所得割額が非課税の世帯、児童扶養手当受給世帯のいずれかに当てはまる必要があります。
さらに対象施設は県教委が指定した施設のみ(2026年5月13日時点で22施設、6月23日に2施設追加)で、オンラインのフリースクールは対象外です。
整理すると、三重県の制度は「所得要件あり・月上限1.5万円・利用料の1/2まで・指定施設限定・オンライン除外」の4点を満たして初めて使えます。東京都の月最大2万円とは対象の広さがかなり違うので、期待値を正しく持っておいてください。
なお私立学校に在籍している場合は、別枠で「フリースクールで学ぶ私立学校児童生徒等支援事業」があります(県環境生活部私学課)。
市町村レベルでは、伊賀市が月額2万円を所得制限なしで補助しているという情報があります(四日市市議会の答弁でも「伊賀市と同様の月額2万円」と引用されています)。伊賀市にお住まいの方は、市に直接確認してみてください。
一方、四日市市には市独自の制度がありません。2026年6月の市議会で、市の不登校児童生徒1,114人が全員フリースクールに通って月2万円を補助すると年間約2億6,700万円かかる、という答弁がありました。県の施策の実績を見ながら検討する、という方針です。津市でも市独自の制度は確認できませんでした。
また、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
三重には一覧が3種類あって、使い分けると便利です。
ひとつめは「令和7年度『居場所』としてのフリースクール一覧表」(子ども・福祉部 次世代育成課、19施設)。ふたつめは「対象フリースクール一覧」(県教委 生徒指導課、利用料支援事業の指定施設)。みっつめは「県内の不登校児童生徒の支援を行う施設の連絡先と所在地(地図)」です。
補助を受けたいなら、まず2つめの「対象フリースクール一覧」に載っている施設から探すのが確実です。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
三重全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に3つの場所を紹介しましたが、前述の県の一覧には19〜24施設が載っています。まずそちらをご覧ください。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの三重県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
「20年間、全員が出席扱い」。この一行の裏には、20年ぶんの学校とのやりとりがあるはずです。1件ずつ校長先生に説明し、理解してもらい、信頼を積み上げてきた。その積み重ねが、いま三重の子どもたちの選択肢を支えています。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























