こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。
青森については、正直に書かなければならないことがあります。
青森県教育委員会は、民間フリースクールの一覧を公表していません。そして今回調べた範囲では、月謝や出席扱いの実績を公式に明記している民間フリースクールを、県内で1件も確認できませんでした。これは47都道府県を調べてきて、かなり厳しい部類です。
もうひとつ、数字を出します。青森県内で、教育支援センター(適応指導教室)を設置している市町村は60.0%です。令和5年度も60.0%、令和7年度の実績も60.0%。2年間まったく動いていません。県の目標は令和10年度に100%です。
つまり、4割の市町村には、公的な通所先すらありません。これが青森の現実です。
ただ、暗い話だけではありません。県は毎日の通所先がない家庭のために、別の形を用意しています。訪問と、送迎です。そして学びの多様化学校の設置に向けて、令和8年度に2億円規模の予算が動き始めました。状況は変わりつつあります。
この記事では、青森でいま実際に使えるものを、遠慮なく現実的に整理します。
青森で最初に確認すべき3つ
他県の記事では「まず4つのタイプから選びましょう」と書いてきました。青森では順番を変えます。まず公的に使えるものを確認し、それから民間・オンラインを探す。これが青森では現実的です。
1. こころの教育相談センター(県立/無料送迎バス「ウイング」あり)
青森県総合学校教育センター内にある、県立の教育支援センターです。対象は県内の小・中・高校生の不登校児童生徒。
開所は月・火・木が10時から14時45分、水曜は「チャレンジ登校日」、金曜は10時から12時。学習の時間、体育館やプレイルームでの活動、キャンプ・ボランティア・園芸などの体験活動、そして教育相談があります。
そしてここには無料の専用送迎バス「ウイング」があります。
この送迎バスの意味を、軽く見ないでください。青森は県土が広く、公共交通が細く、冬は雪です。「通える場所がない」の中身は、施設がないことだけではなく、あっても物理的に行けないということです。県が送迎を用意しているということは、その問題を認識しているということです。
市町村の教育支援センターがない地域にお住まいなら、まずここに問い合わせてください。
2. お住まいの市町村に教育支援センターがあるか
青森県内の設置率は60%です。あるかないかを、まず確認してください。公立なので原則無料です。在籍校の担任の先生に「教育支援センターはありますか」と聞くのがいちばん早いです。
ない場合は、次の訪問型を検討してください。
3. 訪問という選択肢
青森の支援で、いちばん現実的に機能しているのがこの形です。詳しくは次の項で紹介します。
タイプ1:訪問型|青森ではこれが主力です
子ども・若者サポート「つがる・つながる」(青森市佃)
メンタルフレンドを派遣する形の支援です。週1回1時間、学習、スポーツ、遊びなどを一緒にします。主な対象は10代から20代(小・中・高校生を含む)。
メンタルフレンドというのは、年齢の近い大学生などが家に来て、一緒に過ごしてくれる仕組みです。「先生」でも「支援者」でもない人が来るというのが、この形のいいところだと思います。
不登校の子にとって、大人はたいてい「学校に行かせようとする人」に見えます。そうではない人が定期的に来て、ゲームをしたり話をしたりするだけの時間は、それ自体が回復になります。
学習サークル「サンハウス」(三戸郡階上町)
相談と訪問相談、居場所の提供(パソコン教室、家族交流会)を行っています。対象は不登校・高校中退・ひきこもり・ニート。
注目してほしいのは、対応地域が青森県と岩手県にまたがっていることです。階上町は太平洋側、岩手県との県境にあります。県南(八戸周辺)や岩手県北にお住まいの方は、県境を気にせず相談できます。
タイプ2:居場所型|八戸・弘前・青森の拠点
あおばの会/フリースペースあおば(八戸市柏崎)
居場所を中心に、高校卒業のサポートも行っています。火曜から土曜の9時から18時。主な対象は中学生・高校生。
この団体はこども食堂とこども宅食も運営しています。これが何を意味するか。不登校だけを切り出して支援しているのではなく、その家庭で起きていること全体を見ているということです。
不登校の背景には、経済的な事情や家族の状況が絡んでいることがよくあります。食の支援まで手を伸ばしている団体は、その現実を知っている団体です。
特定非営利活動法人 team Step by Step(弘前市城東)
登校支援と不登校の子どもの居場所づくり、そして就労自立支援を行っています。対象は何らかの障がいのある小学1年生以上。
弘前・津軽地域で、居場所づくりを掲げている団体です。発達に特性があるお子さんには、相談先として考えてみてください。
はちのへ未来ネット(八戸市三日町・はっち4階「こどもはっち」内)
個別相談と保護者交流会が中心です。対象は幼稚園から大学生までとその家族。
八戸ポータルミュージアム「はっち」のなかにあるという立地が、この団体の入りやすさを表しています。街なかの公共施設のなかなので、「相談に行く」という重さが少ない。
相談から始めたいなら
スマイルサポート(親と子と教師の教育相談室/青森市橋本)
0120-783-087。月・水・金の9時から16時。県内全域の児童生徒・保護者・教職員が対象で、フリーダイヤルなので通話料もかかりません。
まだ何も決まっていない、何を聞けばいいかもわからない。その段階なら、ここからで大丈夫です。
発達凸凹共育会「はぐとも」(青森市)
ビジョントレーニング、ユースサポートプログラム、個別相談を行っています。対象は子ども・若者・保護者。
タイプ3:オンライン型|青森ではこれが現実解になりやすい
ここまで読んでいただければ、青森ではオンラインの重要度が他県より高いことがわかると思います。
理由は3つです。民間のフリースクールが少ないこと。市町村の4割に公的な通所先がないこと。そして冬の移動が現実的でない地域が多いこと。
下北半島、津軽の西部、県境の町村。雪が積もれば、片道1時間の送迎は毎日は続きません。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
青森のように通える場所そのものが限られる県では、オンラインは「通えない人の代替案」ではなく、最初から有力な選択肢です。冬でも、住んでいる場所に関係なく、同じように参加できます。
もちろん、県のこころの教育相談センター(送迎バスあり・公的)を先に確認してもらってかまいません。まず無料で使えるものを確認して、足りなければ有料を検討する。その順番が正しいと思います。
見学・問い合わせのときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 費用はいくらですか
青森ではこれを最初に、そして必ず聞いてください。今回調べた範囲で、月謝を公式に公表している青森県内の民間施設はひとつもありませんでした。ホームページを見ても料金がわからないのが前提です。入会金、月謝、教材費、活動費。総額で確認してから見学に行ってください。
2. 在籍校への報告書は出せますか。実績はありますか
ここも青森では重要です。出席扱いの実績を公式に明記している民間施設も、今回は確認できませんでした。「出せます」だけでなく、これまで何校で認められたかまで必ず聞いてください。前例がない場合、保護者が学校と交渉する負担が大きくなります。
3. 冬はどうなりますか
青森ならではの、そして絶対に聞くべき質問です。雪のあいだ、開所日や時間は変わりますか。送迎はありますか。4月に見学して決めても、12月に通えなくなるなら意味がありません。冬の運用を先に聞いてください。
4. 訪問には来てもらえますか
青森では、これが現実的な選択肢になります。「つがる・つながる」のメンタルフレンド派遣(週1回1時間)、サンハウスの訪問相談があります。通えない期間も関係が切れない形があるかどうかは、大きな違いです。
5. いま何人くらい来ていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
青森の補助金について。正確に書きます
青森県にも、青森市・八戸市・弘前市にも、保護者向けのフリースクール利用料補助は確認できませんでした。令和8年度の県教育委員会当初予算にも、利用料補助の計上はありません。
ここで注意してほしいことがあります。青森県には「こどもの居場所づくり促進事業補助金」という制度があり、名前だけ見ると使えそうに見えます。でもこれは違います。
この補助金は居場所を運営する団体向けで、対象経費は新規開設や活動拡充に必要な備品等の購入費、上限は1団体50万円です。家庭が払う月謝が下がる制度ではありません。
ただし、この制度が無意味かというとそうではありません。備品を買う補助があるということは、新しい居場所が開きやすくなるということです。実際に、青森では新しい居場所が少しずつ増えています。時間差で家庭に効いてくる種類の制度です。
そして、もっと大きな動きが始まっています。
令和8年度の県当初予算に、「学びの多様化学校設置促進事業費補助」20,758千円(新規)が計上されました。学びの多様化学校(旧・不登校特例校)の設置に向けて、市町村が既存の校舎を改修する費用を支援するもので、設置予定は令和9年度です。
あわせて「夜間中学設置促進事業費補助」31,362千円(新規)も計上され、県内初の公立夜間中学に向けた動きが進んでいます。
学びの多様化学校は、不登校の子のために時間割や授業時数を国の認可のもとで変えられる、正式な公立学校です。そこに通えば当然「出席」なので、出席扱いの交渉そのものが要りません。青森にこれができるということは、県内の選択肢の景色が変わるということです。
なお、現時点で県内の学びの多様化学校は東奥学園高等学校のレバレッジコース(令和8年指定)です。高校段階なので、小中学生向けはこれから、ということになります。
そのうえで、いま費用を抑える方法を3つ。
こころの教育相談センター(県立・無料・送迎バスあり)。市町村の教育支援センター(あれば無料)。放課後等デイサービス(発達に特性があって受給者証が取れる場合、世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料)。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしている場所に「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
青森で正直に書いておきます。民間施設の側に出席扱いの前例が少ないため、保護者が動く必要があります。でも、だからこそ知っておいてほしいことがあります。
公的な教育支援センターに通う場合、出席扱いの運用はすでに確立しています。こころの教育相談センターも、市町村の教育支援センターもそうです。交渉そのものが不要になります。
「フリースクールでなければならない」という思い込みを、いったん外してみてください。青森では、公的な場所のほうが手続きが軽い。これは現時点での事実です。
民間を選ぶ場合は、スクールソーシャルワーカーに入ってもらってください。スクールカウンセラー(心理職)ではなく、ソーシャルワーカー(福祉職)です。地域の資源と学校をつなぐのが仕事なので、この交渉は専門分野です。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
青森全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では、県の「あおもり子ども・若者支援機関マップ」(令和8年度版)で実在が確認できた団体を中心に紹介しました。県教育委員会による民間フリースクールの一覧公表がないため、この記事に載せきれていない場所があります。お住まいの市町村から探したい方は、明光フリースクール公式メディアの青森県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
青森については、きれいごとを書けませんでした。選択肢が少ないのは事実です。設置率が2年間動いていないのも事実です。
それでも書いておきたいことがあります。県が送迎バスを走らせていること。訪問で家まで来る仕組みがあること。そして令和9年度に向けて学びの多様化学校の予算が動き出したこと。「何もない」のではなく、「いま、つくられている途中」です。
そして、いま困っているご家庭には、待っている時間はありません。使えるものから使ってください。フリーダイヤルの相談(0120-783-087)は今日かけられます。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























