こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
北海道のフリースクールを調べていて、ほかの都府県とは違う課題がはっきり見えました。施設のほとんどが札幌に集中していて、道内の多くの地域には通える場所がありません。北海道教育委員会が把握している施設は66か所ですが、そのうち札幌市内が26か所を占めます。旭川、帯広、釧路、江別と点在してはいるものの、道内の広さを考えれば「近くにない」ご家庭のほうが多いはずです。
だからこの記事では、訪問とオンラインという選択肢を、いつもより厚く書きます。北海道には、2002年から訪問支援を専門にやってきた団体があります。通えないから諦める、ということにならないでほしいと思っています。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
なお、2019年に紹介していた17か所のうち4か所は、現在は活動が確認できないか、そもそもフリースクールではありませんでした。施設の情報は2026年9月に公式サイトと北海道教育委員会・札幌市・旭川市の公表資料で確認しています。
北海道のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導や少人数授業が中心で、進路の相談にも強い。勉強が止まっていることへの不安が大きいご家庭に向いています。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。学校で消耗してしまった直後の子には、このタイプが合うことが多いです。
体験活動型は、川遊びや火おこし、調理やアートといった活動が軸になります。北海道の自然を活かした場所もあります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。北海道では、これが現実的な第一選択になるご家庭が多いと思います。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
飛鳥未来中等部・初等部 札幌駅前教室(札幌市中央区)
JR札幌駅から徒歩4分。三幸学園が運営していて、以前は「飛鳥未来フリースクール」という名前でした。小学4年生から中学3年生が対象です。
個別学習で基礎学力を固めながら、通学日数を4つのコースから選べます。「1カ月に1度、出席状況や教室での様子を報告。それをもって多くの小・中学校で出席扱いしていただいております」と明記されています。
入学金50,000円、月額はスタンダード(週5日)52,000円、3DAY 38,000円、2DAY 30,000円。そしてネットコースが月15,000円です。冬の通学がつらい時期だけオンラインに切り替える、という使い方もできます。
プラス学習舎(札幌市中央区)
北1条西19丁目にあります。午後の小学生向けコース、通学が困難な生徒向けの午前コース、英語コースがあり、個別指導が中心です。
費用は入会金10,000円と月謝6,000円が共通でかかり、これに授業料が加わります。午前コースは週1回15,000円から40,000円、午後コースは60分×4回で7,000円から9,000円。写真塾があるのも珍しいところです。9月も体験スクールを実施しています。
星槎フリースクール えみな(帯広市)
十勝で探すならまずここです。公式サイトでは「星槎適応指導教室えみな」という名前を使っています。小学4年生から中学3年生が対象。
基礎学習に加えて、体育、英会話、パソコン、芸術、科学、ソーシャルスキルトレーニングから興味のある分野を選べます。夏企画、星槎オリンピック、文化祭、体育祭、修学旅行、海外研修と、行事がとても充実しています。時間割を自分で選べて、午前だけ・午後だけの通学もできます。
「在籍校の学校長の判断により、フリースクールに登校した日数を正式な登校日数に振り替えることもできます」と明記。費用は入学金20,000円(初年度)、週1日なら授業料10,000円+施設設備費1,000円、週3〜5日なら30,000円+3,000円と、通う日数で細かく分かれています。
タイプ2:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
フリースクール札幌自由が丘学園(札幌市東区)
午前は2時間の授業、午後は体育や芸術。希望者には週2回の放課後学習会があります。「自立を決意したときが卒業」という考え方で、期限を区切らない設計です。小学生と中学生が対象で、同じ建物に系列の三和高等学校があります。
在籍校に籍を残したまま、在籍校長の判断で指導要録上の出席扱いになると明記されています。体験入学は無料。費用は公開されていないため問い合わせが必要です。
ひとつお伝えしておくと、2026年1月に運営がNPO法人から学校法人北海道教育学園へ移りました。公式には「活動内容・職員体制の変更はなく、スクール名称も継続」とされています。
北海道自由が丘学園(札幌市豊平区)
月寒にあります。2003年設立、2013年に認定NPO法人になった団体です。「やりたい」を「できた」に変える教育、子どもが主人公の学校づくりを掲げています。小学生・中学生・中卒生が対象で、高校年齢以上も相談できます。
毎月の出欠表を在籍校に通知し、学校長の判断で指導要録に記載される体制があります。入学金50,000円、月額33,500円程度(週3日コースなどの調整あり、ひとり親家庭等への補助あり)。ただしこの金額は2023年度のパンフレットが出典なので、最新の額は問い合わせてください。
この団体は2023年4月、長沼町に「まおい学びのさと小学校」を開校しています。北海道の学びの選択肢を広げてきた存在です。
スクールさぽーとネットワーク(釧路市)
道東で探すならここです。1990年開設の「フリーハウス」の活動を継承しています。原則6歳から18歳が対象で、学校に通っている子も利用できます(放課後プラン、長期休みプラン、休日プランがあります)。
一日の過ごし方の例として挙がっているのが、TVゲーム、アート活動、調理実習、プログラミング、学習。子どもが自分で選ぶスタイルです。現在の拠点は釧路市新川町の「シッポファーレ!」内。費用は現在公開されていないため問い合わせが必要です。
タイプ3:体験活動型|自然のなかで取り戻していくなら
NPO法人フリースクールそら(札幌市南区)
藤野にあります。川遊び、公園、火おこし、薪割り、芋ほり。月に1、2回の野外活動があり、北海道の自然をそのまま活かした体験活動型です。
ひとつ注意点があります。対象が小学1年生から小学4年生に限られています。中学生・高校生は対象外と考えたほうがよいでしょう。
入会金10,000円、年会費15,000円(保険料・暖房代含む)、単発のチケット制で4回8,000円(ひとり親割引6,000円)。初回3回は体験・見学が無料です。出席扱いについては「学校側と連携を深めつつ理解を得られるよう働きかけていきます」という記載で、確約ではない点はご承知おきください。
札幌YWCA フォローアップスクール(札幌市北区ほか)
2010年開講。札幌YWCA教室(北区)、月寒教室、伏見教室の3か所があります。札幌YWCA教室は小・中・高、月寒と伏見は小・中が対象です(高校生は要相談)。
特徴的なのは体験学習の中身で、カフェ体験、事務経験、ボランティア、手芸といった社会とつながる活動が含まれます。数学・英語・国語中心の教科学習もあります。
通常の月謝は公開されていませんが、「3日間だけ頑張ろう!」という短期プログラムが1日2,200円で用意されています。いきなり入会せず、まず3日だけ試す。この入口はとてもいいと思います。
タイプ4:訪問・オンライン型|通える場所がない、外に出られないなら
北海道でいちばん大事なのがここです。
NPO法人 訪問と居場所 漂流教室(札幌市中央区)
2002年に訪問専門で活動を始めた、日本でも草分け的な団体です。2006年にフリースペースも開設しました。
驚いてほしいのは費用です。訪問は週1回1時間コースで月8,000円、週1回2時間コースで月12,000円。そしてフリースペース(居場所)は無料です(火曜から金曜の9時から16時)。
年齢制限はありません。学校に在籍しているかどうかも、障害の有無も問いません。決まったカリキュラムもありません。
「家から出られない」という段階で、これだけ低い金額で人が来てくれる。北海道にこの団体があることは、本当に大きいと思います。
トライ式中等部 札幌キャンパス(札幌市北区)
中学1年生から3年生が対象です。通学型・在宅型・オンライン型の3つのスタイルがあり、在宅型は教師が自宅を訪問してくれます。通学ペースも週1日から5日まで選べます。
「トライ式中等部での活動や学習が中学校での出席と認定される生徒が多くいます」と明記されています(基準は地域や学校により異なるとのことです)。道内には新札幌、函館、旭川にもキャンパスがあります。費用は公開されていないため問い合わせが必要です。
なお、併設の「トライ式高等学院」は通信制高校のサポート校で、フリースクールとは別のものです。中学生向けのフリースクールは「中等部」のほうになります。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
北海道は、冬の通学がそれ自体で大きな負担になります。吹雪の日に無理をさせない選択肢として、あるいは近くに通える場所がない地域の入口として、考えてもらえたらと思います。
旭川では、無料で通える場所があります
かむいサンビレッジスクール(旭川市神居)は、入会金も月謝も無料です。学習支援に加えて、イラスト教室(月1回)、体育(年6回)、スイーツ教室(月1回)、メイク・ネイル・音楽、職業体験イベント(年1回)と活動が幅広く、定員60人・スタッフ6人と規模もあります。開いているのは月・火・木・金の14時から18時。
旭川市の公式資料に「指導要録上の出席扱い 可能」「実績あり」と明記されています。
ひとつ注意点があります。2019年当時は小学生も対象でしたが、現在の対象は中学1年生から高校2年生と高校中退者です。小学生は対象外になっています。小学生の場合は、同じ旭川市内にある関連施設「まちなかサンビレッジ フリースクールひなたぼっこ」(小1〜高3対象、旭川市内の小中高生は無償)を検討してみてください。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
3. 冬はどうなりますか
北海道ならではの質問です。吹雪や路面凍結で通えない日の扱い、送迎の有無、オンラインへの振り替えができるか。冬を越せるかどうかで、続けられるかが変わります。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。どんな内容ですか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
5. 途中でやめたくなったとき、費用はどうなりますか
聞きにくいことですが、いちばん大事かもしれません。合わなかったら変えていい。そのときにお金が足かせにならないかを、先に確かめておいてください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
北海道の補助金は、市町村次第です
東京都には、都内のどこに住んでいても月最大2万円が出る制度があります。北海道と札幌市には、保護者が受け取れる利用料補助がありません。
北海道教育委員会がやっているのは施設一覧の公表まで。札幌市には「フリースクール等民間施設事業費補助金」がありますが、これは施設側への運営費補助(年間160万円から320万円)で、保護者は対象外です。利用料を低く抑えている施設を市が支える、という間接的な形になっています。
道内で保護者向けの制度が確認できたのは、次の2つです。
北広島市は月額上限2万円と、東京都と同水準です。しかも補助率が細かく設定されていて、生活保護受給世帯は利用料の全額、就学援助受給世帯は4分の3、その他の世帯は2分の1が補助されます。2026年4月に始まったばかりの制度です。市立小中学校に在籍していることが条件になります。
鷹栖町(上川郡)にも制度があり、生活保護受給者は月2万円、就学援助受給者は月1万5千円、その他は月1万円。ただし対象施設は町内の1施設のみです。
札幌市にお住まいの方には補助がありません。そのぶん、漂流教室のフリースペース(無料)や、旭川のかむいサンビレッジスクール(無料)のように、費用が低い場所の存在が大きくなります。また通う日数を減らす、オンラインと組み合わせる、といった工夫も現実的です。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
北海道には便利な資料があります。北海道教育委員会が「フリースクールなど民間の相談・指導施設一覧」を公表していて、2026年9月時点で66施設が載っています。札幌市と旭川市も独自の一覧を出しています。まずこれらの一覧に載っている場所から探すのが確実です。
この記事で紹介したなかでは、飛鳥未来中等部・初等部、星槎フリースクールえみな、札幌自由が丘学園、北海道自由が丘学園、トライ式中等部、かむいサンビレッジスクールが、公式に出席扱いへの対応を明記しています。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
北海道全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に11の場所を紹介しましたが、北海道にはもっとたくさんのフリースクールがあります。北海道教育委員会の施設一覧、札幌市・旭川市の一覧が参考になります。お住まいの市町村で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの北海道のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
北海道は広く、近くに場所がないご家庭も多いと思います。でも、家まで来てくれる人がいます。画面越しにつながれる場所もあります。通えないことは、諦める理由になりません。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























