こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
広島を調べていて、ほかの県とははっきり違う特徴が見えてきました。
広島は、民間フリースクールへの補助金という形ではなく、公的な受け皿そのものを厚くしている県です。県立の教育支援センター「SCHOOL”S”(スクールエス)」を東広島市に設置し、学校の中に居場所をつくる「不登校SSR推進校」を整備し、オンラインプログラムも用意しています。福山市は市立のフリースクール「かがやき」を3か所つくって無料で開いています。
その一方で、民間フリースクールの利用料を家庭に補助する制度は、県にも広島市にも福山市にも見当たりませんでした。どちらがいいという話ではなく、広島はそういう組み立てなのだということを、まず知っておいてください。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
施設の情報は2026年9月に公式サイトと県・市の公表資料で確認しています。
広島のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。勉強が止まっていることへの不安が大きいご家庭に向いています。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、農業や食、動物の世話、DIYといった活動が軸になります。広島には自然のなかで過ごせる場所が複数あります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
Free School あいびぃ(東広島市)
今回調べた広島の民間施設のなかで、情報がもっとも整っていて、選択肢も多い場所です。西条にあり、2004年開校で21年目。学校法人喜田学園の東林館高等学校のサポート校を兼ねています。
費用がすべて公開されているのがありがたいところです。入学金11,000円。フリースクールコース(小中学生)は日額3,300円で月の上限が39,600円。つまり通った日だけ払えばよく、通いすぎても上限で止まります。お試しコースは3回まで日額3,300円。
出席扱いについては「今まで希望した子どもは全て出席扱いとさせて頂いております」と明記されています。
そして注目してほしいのがメンタルフレンド(家庭訪問)と家庭教師のコースです。時給4,500円+交通費で、家に来てもらえます。広島大学の学生ボランティア講座や医療機関との連携もあり、幅の広さが際立っています。
フリースクール ぱれっと(広島市)
30年以上続く「さかもと学習塾」が母体で、学力補助、定期試験や入試の対策、検定対策といった学習支援を軸にしながら、アート、運動、音楽、ゲーム、パソコン、クッキング、プログラミングを組み合わせています。小学生から大人までが対象です。
費用は1日1時間あたり2,750円(税込)の単価制。通った日だけ、通いたい時間数だけ払う形です。同じ法人が放課後等デイサービス「まなびの家」も運営しています。
ひとつ注意点があります。公式サイトに住所の記載がなく、ブログの更新も2020年で止まっています。市外局番082から広島市内と思われますが、訪問の前に必ず電話で所在地と受け入れ状況を確認してください。
タイプ2:体験活動型|暮らしから取り戻していくなら
木のねっこ(廿日市市)
農業、食、アート、DIY、野外炊飯、異世代の交流。暮らしそのものを体験しながら「生きる」を学ぶ場所です。活動は火曜から金曜の10時から15時、水曜は16時から19時に「よるカフェ」もあります。小中学生が基本です。
大きな変化があったのでお伝えします。2024年10月にNPO法人を解散し、同年11月から事業規模を縮小して任意団体「木のねっこ」として運営しています。名称から「フリースクール」の語も外れ、いまは「暮らしの学びと『生きる』を学ぶ場所を提供します」を掲げています。所在地も広島市安佐北区から廿日市市に移っています。
費用と出席扱いについては公式サイトに記載がありません。連絡先は090-5382-6299です。古いサイト(kinonekko.info)も残っていますが情報が古いので、Wixの新しいサイトをご覧ください。
スイス村(庄原市)
県北の庄原市にある全寮制のフリースクールです。動物の飼育や農業体験が中心で、掲げている目標が印象的でした。進学ではなく「社会に出てからの自立」です。原則として小・中・高校生が対象で、ケースにより20代・30代も受け入れています。
費用のしくみが独特で、入寮費が市町村民税の所得割額に応じたスライド制(15,000円から150,000円)。非課税世帯やひとり親家庭は相談できます。月額の生活費・施設費は公開されていません。
出席扱いについては公立小中学生は「出席扱いになるケースが一般的」と明記されています(最終判断は校長)。高校生は義務教育ではないため出席扱いにならず、通信制高校への編入を勧めているとのことです。
ひとつ注意点として、サイトの最新記事が2020年6月で止まっています。全寮制で入寮費も大きい選択なので、必ず電話(0824-87-2808)で現在の受け入れ状況を確認してください。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
あいびぃのメンタルフレンド・家庭教師コース(東広島市)
先ほど紹介したあいびぃには、家庭訪問のコースが正式に用意されています。メンタルフレンドと家庭教師の2つで、どちらも時給4,500円+交通費。今回調べた広島の民間施設のなかで、訪問を明示しているのはここだけでした。
まず家に来てもらい、慣れてきたら通う日をつくる。そういう段階的な進め方ができます。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
広島は島しょ部や県北など、通える距離に施設がない地域があります。近くに場所がない方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
なお広島県は「ひろしまオンラインプログラム」という県独自のオンライン支援も用意しています。在籍校か市町の教育委員会に問い合わせてみてください。
福山市にお住まいなら、無料の市立フリースクールがあります
これは福山市の方にぜひ知っておいてほしい制度です。
福山市フリースクール「かがやき」は市が設置・運営していて、費用は無料です。拠点は3か所あります。
中央(北吉津町・教育相談センター内)、東部(伊勢丘)、西部(松永町・松永コミュニティセンター内)。開いているのは月曜から金曜の10時から15時(祝日を除く。第2・4水曜は12時まで)。
特徴は自分で通う日時と学び方を決められることです。体験的な学習とICTを使った個別対応の学習を組み合わせています。そして「利用日を在籍校での『出席』とします」と明記されています。
対象は福山市立の小・中学校および義務教育学校に在籍する不登校等の児童生徒です。市民限定で、高校生は対象外という点にご注意ください。
福山市はほかにも、学校の中に居場所をつくる「きらりルーム」(小学校3校・中学校8校)や「フリースクールおやまの学校」(月1回程度)も運営しています。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
3. いまも受け入れていますか
広島ではこれを最初に聞いてください。今回調べた民間施設5か所のうち3か所はサイトの更新が2020年前後で止まっていました。閉じているわけではありませんが、電話で現況を確かめてから動いたほうが確実です。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。どんな内容ですか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
5. 途中でやめたくなったとき、費用はどうなりますか
聞きにくいことですが、いちばん大事かもしれません。合わなかったら変えていい。そのときにお金が足かせにならないかを、先に確かめておいてください。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
広島は「補助金」ではなく「公的な受け皿」で支えています
冒頭に書いたとおり、広島県・広島市・福山市のいずれにも、民間フリースクールの利用料を家庭に補助する制度は見当たりませんでした。東京都の月2万円、神戸市の月2万円のような直接の助成はありません。
そのかわり、公的な受け皿の整備に力を入れています。
SCHOOL”S”(スクールエス)は県立の教育支援センターです。東広島市の広島県立教育センター内にあり、「居場所」「相談できる場所」「挑戦できる場所」の3つを掲げています(082-228-3500)。
不登校SSR推進校は、学校の中に居場所をつくる取り組みです。いわゆる校内フリースクールで、県が支援しています。教室に入れなくても学校に来られる子にとっては、現実的な選択肢になります。
ひろしまオンラインプログラムもあります。
福山市の市立フリースクール「かがやき」(無料)も、この流れのなかにあります。
民間施設の費用を抑えたい場合は、通った日だけ払う料金体系の場所を選ぶのが現実的です。あいびぃは日額3,300円で月の上限が39,600円、ぱれっとは1時間2,750円。週1回なら月1万円台で収まります。
なお、尾道市がフリースクール利用料を半額助成する方針との報道がありました。ただし市の公式サイトでは制度のページを確認できなかったため、金額や開始時期は不明です。尾道市にお住まいの方は、市教委の教育指導課(0848-20-7454)に直接お問い合わせください。
また、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
広島の場合、まず市町の教育委員会や在籍校に相談して、SCHOOL”S”や校内の居場所(SSR推進校)、福山市なら「かがやき」といった公的な選択肢を確認するのが順序としては自然です。これらは費用がかからず、出席の扱いもはっきりしています。そのうえで、合わない場合や近くにない場合に民間施設を検討する、という流れが広島では現実的だと思います。
この記事で紹介したなかでは、あいびぃ(希望者は全て出席扱い)、スイス村、そして福山市の「かがやき」が、出席扱いへの対応を明記しています。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
広島全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に5つの場所を紹介しましたが、広島にはほかにもフリースクールがあります。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの広島県のフリースクールと補助金一覧をご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























