こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。今回、静岡を調べていて、ひとつお伝えしなければならないことがありました。
浜松市のフリースクール空が、2026年3月をもって18年の活動を終えました。公式サイトには「子どもたちと過ごした18年間のかけがえのない思い出として、このHPは消さずに残しておきます」と書かれています。「教育ではなく福祉」を掲げた居場所でした。元スタッフの方が「フリースクールNEST」を開校し、理念を引き継いでいるとのことです。
ほかにも、2019年に紹介していた9か所のうち2か所は、そもそも長野県の施設でした。当時の記事の精度が足りていなかったということです。申し訳ありません。今回は静岡県内で現在も運営が確認できた場所に絞りました。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
施設の情報は2026年9月に公式サイトと静岡県教育委員会の公表資料で確認しています。
静岡のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導や少人数授業が中心で、進路の相談にも強い。勉強が止まっていることへの不安が大きいご家庭に向いています。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、体を動かす活動や生活そのものの立て直しが軸になります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
コスモスクール未来 静岡校(静岡市葵区)・富士校(富士市)
静岡でいちばん使い勝手がいいのは、おそらくここです。
生徒2〜3名に対してスタッフ1名という、ほぼマンツーマンの指導。小学生から高校生(通信制高校生を含む)まで対応しています。
費用のしくみが親切です。静岡校は学習サポート週1回で月10,000円、週2回で月18,000円。お試しが1日3,000円。富士校は県の資料によると入会金なしで月額8,000円から18,000円。今回調べた静岡の施設のなかで、もっとも始めやすい水準です。
出席扱いについては「在籍している小中学校と連携し、出席にカウントできます」と公式に明記されています。
そして特筆すべきは、静岡市内・富士市内なら訪問学習サポート(90分3,000円)に対応していることです。通所と訪問を同じ場所に頼めるのは、状況が変わったときに助かります。
星槎フリースクール浜松(浜松市中央区)
以前は「星槎教育研究所 浜松相談室」という名前でした。住所は同じで、名称が変わっています。星槎国際高等学校浜松学習センターの中にあります。
対象は原則として小学4年生から中学3年生(浜松市の一覧では小4〜高3)。学習支援と居場所の両方を備えた形です。
費用は資料によって差があり、県の資料では入会金10,000円・月額30,000〜40,000円、浜松市の一覧では月額21,000円からとなっています。コースによる違いと思われるので、問い合わせて確認してください。
タイプ2:体験活動型|生活から立て直したいなら
フリースクール元気学園(静岡市駿河区)
ここは全国的に見てもかなり特徴的な場所です。全寮制で、しかもクリニックを併設しています。実績は30年。
掲げているのは「元気開発プログラム」。まず体調と体力を改善し、そのうえで学習を行うという順番です。小学部・中等部・高等部があります。
出席扱いについての記載が印象的でした。「小学校・中学校の義務教育期間に元気学園で指導した不登校の生徒は、今までのところ『全員、学校出席扱い』」と明記されています(高校は各校の判断)。
費用は公開されていません。全寮制のため個別の見積もりになると思われます。2026年8月・9月にも教育相談の日程が組まれていて、活動は活発です。
朝起きられない、体力が落ちてしまった、昼夜が逆転してしまった。そういう状態が長く続いているご家庭には、検討する価値があると思います。ただ家庭から離れる選択には勇気がいりますし、合う合わないもはっきり分かれます。まず相談から始めてください。
リベラスコーレ(三島市/NPO法人リベラヒューマンサポート)
県東部で探すならここです。放課後等デイサービス、日中一時支援、フリースクールの3つを一体で運営しているのが特徴で、福祉のしくみと組み合わせて使えるのが強みです。
対象は不登校の小・中・高校生、通信制(定時制)高校の在籍者、さらに高校卒業後の若者まで。学習支援に加えて書道、華道、ギター、合唱、スポーツ、キャンプといった活動があり、就労支援のコースまであります。
費用は公開されていませんが、世帯収入による減免制度(20〜50%)があると明記されています。静岡県の「公的教育機関と民間施設等の連携協議会名簿」にも掲載されています。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
コスモスクール未来の訪問学習サポート(静岡市・富士市)
先ほど紹介したコスモスクール未来には、訪問のサポートがあります。90分3,000円で、静岡市内と富士市内が対象です。通所と同じ場所に頼めるので、家から始めて、慣れてきたら通うという段階的な進め方ができます。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
静岡は東西に長く、伊豆半島や県西部など、通える距離に施設がない地域があります。近くに場所がない方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
3. 休んだとき、連絡は来ますか。誰から、どんなふうに来ますか
相性がはっきり出るところです。連絡が来ることを安心と感じる子もいれば、責められているように感じる子もいます。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。どんな内容ですか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
5. 県の連携協議会に参加していますか
静岡ならではの質問です。静岡県は「公的教育機関と民間施設等の連携協議会」という枠組みを持っていて、2026年6月時点で72施設が名簿に載っています。ここに参加している施設は、学校との連携の道筋がはっきりしています。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
静岡の補助金は、浜松市に注目です
静岡県には、保護者が受け取れる利用料の補助制度がありません。県の「フリースクール等支援事業費補助金」は施設側への運営費補助(1運営主体あたり上限100万円)で、保護者は対象外です。静岡市にも、民間フリースクールの利用料を補助する制度は見当たりませんでした。
そのなかで、浜松市に動きがありました。
浜松市には「こども習い事応援事業」というクーポン制度があり、2026年4月から対象学年が広がり、フリースクールも対象になりました。金額は児童1人あたり年間12万円(ひと月につき1万円相当)のクーポンです。
ただし条件が限定的です。対象になるのは浜松市内に住民登録があり、生活保護または児童扶養手当の全部支給を受けている世帯の、小学1年生から6年生の保護者です。中学生は対象外で、所得の要件もあります。東京都の月2万円・全世帯対象と比べると、範囲はかなり狭いと言わざるを得ません。
それでも、対象になるご家庭にとっては年12万円は大きな金額です。浜松市にお住まいで条件に当てはまる方は、市のこども習い事応援事業のページを確認してみてください。
そのほか、費用が低い場所を選ぶという現実的な方法もあります。コスモスクール未来なら週1回で月10,000円、富士校は入会金なしで月8,000円から。リベラスコーレには世帯収入による減免制度があります。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。三島のリベラスコーレのように、放課後等デイサービスとフリースクールを一体で運営している場所もあります。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
静岡には役立つ資料が揃っています。静岡県が「フリースクール等民間施設情報」と「公的教育機関と民間施設等の連携協議会名簿」(72施設)を公表しているほか、静岡市は「不登校児童生徒の指導要録上の出席扱いに関するガイドライン」を出しています。浜松市も民間施設の一覧を公開しています。見学先を決める前に目を通しておくと安心です。
この記事で紹介したなかでは、コスモスクール未来と元気学園が、公式に出席扱いへの対応を明記しています。とくに元気学園は「今までのところ全員、学校出席扱い」と書いていて、実績がはっきりしています。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
静岡全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では現在の運営が確認できた場所に絞ったため、紹介したのは5か所です。静岡にはほかにもフリースクールがあります。前述の静岡県「連携協議会名簿」には72施設が載っていますので、そちらが最も網羅的です。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの静岡県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
この記事を書くために調べていて、18年続いた場所が幕を下ろしたことを知りました。フリースクールは、多くが小さな団体の努力で成り立っています。だからこそ、いま開いている場所に早めに会いに行ってほしいと思います。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























