こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。まず正直にお伝えすると、2019年に紹介していた5か所のうち1か所は解散、1か所はフリースクールではなく学習塾でした。
解散したのは山口市のフリースクールAUCです。公式サイトに「スタッフの高齢化により6月末日をもって解散手続きに入ります」という告知が残っていました(2025年6月)。いまはドメインごと消えています。
補助金については、地域差がはっきりしています。宇部市には月額上限2万円の補助があり、東京都と同水準です。一方、山口県には県全体の制度がなく、山口市にも制度が見当たりませんでした。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
山口のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、釣りや自然体験、ビジネス体験といった活動が軸になります。山口はこのタイプが充実しています。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:体験活動型|好きなことから始めたいなら
フリースクールまなポート(周南市)
NPO法人まなびデザインラボが運営しています。ここの特徴は8つの部活動があることです。ゆーちゅー部、釣り部、アウトドア部など。コーチングを活用しながら、自然体験、ビジネス体験、社会貢献活動に取り組みます。
費用の設計が柔軟です(すべて税別)。入学金は週2日・週5日コースが20,000円、週1日コースと1dayサービスが10,000円。週1日コース月12,000円、週2日コース月20,000円、週5日コース月40,000円。1dayサービスが1日5,000円。放課後の「釣りっ子」クラブが月5,000円です。
注目してほしいのが2点。ひとつは「週1日コース」があり、学校と併用できること。もうひとつは毎週木曜の「ひるまの寺子屋」が無料であることです。いきなり入会しなくても、無料で行ける日があります。
トップページに「オンライン入校可能」の記載もあります。高校コースは併設の精華学園高等学校 周南校で高卒資格が取れます。個別相談+体験入学は3,000円です。
ひとつだけ、出席扱いについて公式サイトに記載が見当たりませんでした。必要な場合は直接確認してください。
ハピエデュDay(山口市徳地/一般社団法人Happy Education)
徳地の自然のなかにある場所です。掲げているのが「体験は学びのDIY」。タケノコ掘り、山菜摘み、栗拾い、流しそうめん、マリン体験学習会、餅つきと、季節ごとの体験が続きます。対象は4歳から18歳。
そして「スタッフは寄り添いますが、指導はしません」と明記された自由なスペースです。
費用を見てください。年会費5,000円+月会費2,000円。個別相談は初回30分無料、2回目以降は1回1,000円(年会費を納めていれば無料)。全国的に見ても、これはかなり低い水準です。開所は月・水・土の11時から17時で出入り自由。保護者のみの参加もでき、茶話会「ハピカフェ」を山口市・防府市・光市・阿武町で開いています。オンラインや電話での個別相談もあります。
ひとつ注意点があります。公式サイトの新着が2024年5月13日で止まっていて、一部のページも見られなくなっています。サイト移転の案内はありますが移転先が確認できませんでした。訪問前に必ず電話(090-4579-1368)で活動の状況を確認してください。
タイプ2:居場所型+訪問型|まず安心できる場所から、家まで
フリースクール下関(下関市/NPO法人Nest)
1996年に「フリースクール下関」として始まり、2007年にNPO法人になりました。30年の蓄積がある場所です。会員は112名。
活動は複数あります。フリースクール下関Ⅰ(月曜12時〜16時)、Ⅱ(火・水・木11時〜15時)、フリースペースNest(火曜、下関市の委託事業を含む)、Nest学習会(市委託)。そしてホームカウンセリング(訪問支援)、面接相談、家族支援例会、サポート養成講座。
出席扱いについて、はっきり書いています。「利用日は義務教育期間であれば、学校への出席扱いにもなります」。
特筆したいのは、子ども本人の利用がなくても、保護者だけで相談に使えることです。不登校・ひきこもりに関する初回相談は無料(50分・要予約)。それ以外の相談は50分1,000円です。
月謝は公開されておらず「利用方法、料金体制などの詳しい資料につきましてはお問い合わせください」となっています。会費は年3,000円ほか。下関市の委託事業を継続して受けていて、市報にも代表が登場しています。市との関係が築けている団体です。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
NPO法人Nestのホームカウンセリング(下関市)
前述のとおり、Nestは訪問支援を持っています。山口で訪問を明示しているのは、今回調べたなかではここだけでした。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
山口は施設が周南・下関・山口に点在していますが、萩や岩国など通える距離に場所がない地域もあります。近くに場所がない方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. いまも受け入れていますか
山口ではこれを最初に聞いてください。今回調べたなかにも、解散していた施設とサイト更新が2年以上止まっている施設がありました。ネットの情報が古いまま残っていることが多いので、必ず電話で確認してから動いてください。
2. 無料で行ける日はありますか
山口ならではの質問です。まなポートの「ひるまの寺子屋」(毎週木曜)は無料、Nestの初回相談も無料です。いきなり入会金を払う前に、まず無料の日に行ってみることができます。
3. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
5. 宇部市・下関市の補助の対象施設ですか
宇部市と下関市にお住まいなら必ず聞いてください。宇部市は「認定施設」に通っていることが条件です。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
山口の補助金は、市によって大きく違います
山口県には、フリースクール利用料を補助する県の制度が見当たりませんでした。県議会議員のブログ(2025年5月)でも「宇部市・下関市は補助金を交付している。山口県も助成制度を創設すべき」と提言されていて、県レベルでは未創設という状況です。
市町村レベルでは、次のようになっています。
宇部市が県内でもっとも手厚い制度を持っています。「宇部市フリースクール等利用支援補助金」で、補助率2分の1、補助限度額は月額20,000円。東京都と同水準です。
条件は5つ。申請日前1年以内におおむね30日以上、在籍校を欠席していること。宇部市立の小中学校に在籍し市内に居住していること。認定施設に原則週1回以上通所していること。学校・教育委員会との情報共有に同意すること。同一の経費で他の公的補助を受けていないこと。
認定施設は現在2か所で、「もうひとつの学校 おかむら塾」と「フリースクールさなぎ」です(認定施設は随時募集中)。しかも宇部市は令和8年度(2026年度)の施政方針で「フリースクール利用料の一部助成を拡大します」と明記しています。
下関市にも「下関市フリースクール等利用支援補助金」があります。市教育委員会の資料に「交付要綱に規定し、令和5年9月1日付けで施行した」と記載されています。ただし補助率・月額上限・対象条件が市の公式サイトで確認できませんでした。下関市教育委員会に直接お問い合わせください。なお下関市は2026年4月に「学びの多様化学校」(市立関西小校舎内、文洋中分校)を開校しています。
山口市には制度が見当たりませんでした。市教育委員会の定例会では「フリースクールが何校あるか…はっきり何校とお答えすることはできない」という答弁もあり、市としての把握もこれからという段階です。宇部市の補助は宇部市立小中学校在籍かつ宇部市在住が要件なので、山口市民は使えません。
ですので山口では、費用そのものが低い場所を選ぶことが現実的な対策になります。ハピエデュDayは年会費5,000円+月会費2,000円、まなポートの「ひるまの寺子屋」は無料、Nestの初回相談も無料です。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
山口では県が民間フリースクールの一覧を公表していません。県教育委員会は「山口県不登校対策会議報告書」などで連携方針に言及していますが、施設名を並べた一覧ページやPDFは見つかりませんでした。
つまり親御さんが自力で探すしかないのが現状です。だからこそ、Nestのように市の委託事業を継続して受けている団体や、宇部市の認定施設のように行政と関係ができている場所から探すのが確実だと思います。
もうひとつお伝えしたいことがあります。今回調べていて、まとめサイトの情報がかなり不正確でした。解散したAUCを「営業中」として掲載していたり、電話番号が別の施設のものになっていたり、料金が公式と違っていたり。ネットの情報は必ず公式サイトか電話で確認してください。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
山口全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では現在の運営が確認できた場所に絞ったため、紹介したのは3か所です。宇部市の認定施設(おかむら塾、フリースクールさなぎ)など、ほかにもあります。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの山口県のフリースクールと補助金一覧をご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
今回、山口市のフリースクールが「スタッフの高齢化により」解散していたことを知りました。場所を守ってきた人たちも、年を重ねます。行政の支援がないまま個人の善意だけに頼っていると、こういうことが起きる。だからこそ宇部市のような制度が広がってほしいと思います。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























