こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
今回、茨城を調べていて、うれしい発見がありました。
茨城県には、保護者が受け取れる利用料の補助制度があります。月額上限15,000円・年間180,000円。さらにつくば市には所得制限なしで月額上限20,000円の独自制度があり、東京都と同じ水準です。全国を調べてきましたが、県と市の両方に制度がある地域は多くありません。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
施設の情報は2026年9月に公式サイトと茨城県教育委員会の公表資料で確認しています。
茨城のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。勉強が止まっていることへの不安が大きいご家庭に向いています。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、畑や焚き火、外遊びといった活動が軸になります。机に向かうことがしんどくなってしまった子でも、活動を通してなら人と関われます。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。まだ外に出るのが難しい段階では、これが唯一の入口になることもあります。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
TSUKUBA学びの杜学園(つくば市)
つくば駅から徒歩15分(駐車場もあります)。平日10時から15時で、午前は学校の課題などの学習、午後は興味や得意分野の活動という組み立てです。プログラミング講座、ネイティブとの英会話、アート体験、田植えと稲刈り、バーベキュー、ドッグセラピーと、午後の幅がとても広い。
出席扱いについての記載が力強いです。「在籍校と当学園が連携することにより、つくば市内外、茨城県内外にかかわらず出席扱いとなります」。市外・県外からの利用も想定しているということです。
翔洋学園高等学校のサポート校も併設していて、高校生まで見通せます。費用は公式サイトには載っていませんが、県の一覧では入学金100,000円・施設利用費30,000円と申告されています。
つくば高等学院(つくば市)
ここはIT・プログラミングに特化しているのが特徴です。運営しているのは元高校教諭でプログラマの方。学校の課題や基礎学習に加えて、パソコン、プログラミング、デジタル制作、電子工作をやります。フリースクール部門は小学5年生から中学3年生が対象です。
費用がすべて公開されていて、入学金と積立金がありません。週1日コース月25,000円、週2日33,000円、週4日40,000円(パソコン持ち込みなら33,000円)。小中学生は月謝制の相談もできます。週1回・短時間から始められるので、最初の一歩としても選びやすいと思います。
出席扱いについては「在籍校の判断により異なります」と、正直に書かれています。見学・個別相談はオンラインでも受けられます。
茨城ゼミナール フリースクール(ひたちなか市)
JR勝田駅の近くにあります。授業は原則1対1で、進学指導とカウンセリングを組み合わせています。小学生から高校生まで(大学生・社会人も受け入れ)。
注目してほしいのは家庭訪問(出張指導)に対応していることと、出席扱いについて「各学校との出席交渉もいたします」と明記していることです。学校との話し合いに不安があるご家庭には心強い姿勢です。
費用はフリースクール枠だと「ご相談」となっていて、紹介などにより通常の会員より割引があるとのことです。ひとつ注意点として、2026年9月時点で「フリースクール会員は募集キャンセル待ち」と表示されています。問い合わせの際は空き状況を確認してください。
タイプ2:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
むすびつくばライズ学園(つくば市)
認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が2000年から続けている場所です。2024年4月に、つくばセンタービル内の複合拠点「むすびつくば」に移転しました。市民大学やコミュニティライブラリーと同じ建物にあり、つくば駅から徒歩3分です。
フリースペースと学習スペースが分かれていて、読書やボードゲームで過ごすことも、学習支援を受けることもできます。スポーツ教室、農作業、絵画造形といった体験活動もあります。原則としてつくば市内在住の小学3年生から中学3年生が対象です。
出席扱いについては「体験通所および通所ともに学校では出席扱い(指導要録)となります」と明記されています。
そして費用の書き方が親切です。年会費6,000円のほか月額は週1日16,000円から週4日40,000円ですが、「つくば市の補助(上限月2万円)適用後は週1日0円、週4日でも20,000円」と、補助後の実質負担まで示しています。週1日なら実質無料ということです。
さらに2026年10月から、オンラインクラスとハイブリッドクラスが始まります(毎週火曜)。オンラインは小学5年生から高校3年生が対象です。
こどものSONORA(牛久市)
掲げているのが「決められたプログラムが無く」「何もしなくてもいい自由を守ります」。火・水・木・金の9時半から16時半に開いていて、長期休暇中もオープンしています。小中学生が中心ですが、未就学児や高校生以上も来られます。
屋外遊び、畑、焚き火、そしてプレーパークの運営。体験活動の色も濃い場所です。
費用は月利用が30,000円(登録料込み)。日利用なら1日あたり一口500円で原則3口以上+登録料10,000円(3か月)という選び方もできます。経済的な事情がある世帯は県の補助制度が使えると明記されています。月曜は個別相談と家庭訪問の日(要予約)です。
タイプ3:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
茨城ゼミナールの出張指導(ひたちなか市)
前述のとおり、茨城ゼミナールは家庭訪問(出張指導)に対応しています。1対1の指導をそのまま自宅で受けられる形です。ただし現在はキャンセル待ちの状態なので、空き状況を確認してください。
むすびつくばライズ学園のオンラインクラス(2026年10月開講)
2026年10月から、毎週火曜にオンラインクラスとハイブリッドクラスが始まります。対象は小学5年生から高校3年生。通所の実績がある団体が始めるオンラインなので、学校との連携についても相談しやすいはずです。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
茨城は施設がつくば周辺に集中しています。県北や鹿行地域など、近くに通える場所がない地域にお住まいの方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
2. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
3. いま空きはありますか
茨城ではこれを最初に聞いてください。今回調べたなかにも、募集をキャンセル待ちにしている施設がありました。見学の予定を立てる前に、受け入れ可能かを確認したほうが確実です。
4. 在籍校への報告書は出してもらえますか。どんな内容ですか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
5. 県やつくば市の補助金は使えますか
茨城では必ず聞いてください。県の制度にも市の制度にも、対象施設の要件があります。「この施設は補助の対象になりますか」と直接聞くのが早いです。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
茨城には県の補助金があります。つくば市はさらに手厚い
ここが茨城のいちばん重要なところです。
茨城県には「民間フリースクール連携推進事業」という制度があり、保護者向けの授業料等補助があります。
補助率は保護者が支払う額の2分の1以内で、児童生徒1人につき月額15,000円・年間180,000円が上限です。ただし所得の要件があり、住民税非課税世帯・要保護世帯・準要保護世帯のいずれかに該当する必要があります。茨城県内に居住していることが条件で、施設は県外のものでも対象になります。
申請の締め切りは年3回(第Ⅰ期8月末、第Ⅱ期12月末、第Ⅲ期3月末)です。
つくば市には、これとは別枠の制度があります。「民間不登校児童生徒支援事業利用者支援交付金」で、月額上限20,000円、しかも所得制限がありません。条件はつくば市に住民登録があり市内に居住していること、市税の滞納がないことだけ。年会費・教材費・体験活動費・交通費は対象外で、利用料が対象です。
東京都と同じ水準の補助が所得制限なしで受けられるのは、全国的に見てもかなり恵まれています。前述のとおり、ライズ学園は「補助後は週1日0円」と明記しているほどです。
一方、水戸市には民間フリースクール利用料の補助制度が見当たりませんでした。水戸市が力を入れているのは「校内フリースクール」(市立小中学校内に専任支援員を配置)の設置・拡充で、令和7年度から小学校6校に広げています。水戸市にお住まいの場合は、県の制度(所得要件あり)が使えるかを確認することになります。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
茨城には便利な資料があります。茨城県教育委員会が「茨城県内の民間施設(フリースクール)について」というPDFを公表していて、34の施設・団体が掲載されています(2025年6月)。これは県が様式を定めて各施設に提出してもらったもので、県による認証や推薦ではありませんが、選択肢を知るには役立ちます。この記事で紹介した5か所はすべてこの一覧に載っています。
つくば市も「民間事業者が運営する不登校児童生徒支援施設一覧」をPDFで公表しています。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
茨城全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に5つの場所を紹介しましたが、前述の県の一覧には34施設が載っています。お住まいの市で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの茨城県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。市区町村ごとに整理されています。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























