こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
今回、長野を調べていて驚きました。長野県には、全国的に見てもかなり進んだしくみがあります。
2024年4月に創設された「信州型フリースクール認証制度」です。県が一定の基準でフリースクールを認証し、運営費を補助する。認証された施設は県の公式ポータル「kikka☆link」に掲載され、親御さんがそこから探せるようになっています。現在の認証は学び支援型35施設、居場所支援型17施設の計52施設。県は累計70施設まで増やす見込みを示しています。
さらに長野には、1日300円で通える場所や、実質無料の場所もありました。
一方で、課題もはっきりしています。県が2026年1月に公表した調査によると、フリースクール利用の月額平均は23,850円、72%の家庭が経済的な負担を感じている。そして市町村の支援制度を「知らない、または制度がない」と答えた家庭が54%にのぼりました。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
長野のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。長野県の認証制度でも「学び支援型」という区分があります。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。県の認証では「居場所支援型」にあたります。
体験活動型は、里山での焚き火、畑仕事、動物とのふれあいといった活動が軸になります。長野はこのタイプが充実しています。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
タイプ1:居場所型|まず安心できる場所がほしいなら
フリースクール佐久(佐久市)
1995年から続いている場所です。まず費用を書きます。無料。かかるのは年2,000円の通信費だけです。
掲げているのは「ゆったりした時間の中で自由に一日を過ごす」。スタッフは退職された教職員の方を中心に約10名のボランティアです。開いているのは月曜から金曜の12時半から16時半。対象は小中学生とその保護者(6歳〜15歳)で、高校生は対象外です。中学卒業後はほとんどの子が高校に進学しているとのことです。
佐久地域が中心ですが地域は限定しておらず、長野市や東御市から通っている例もあります。信州型フリースクールの認証施設(学び支援型)です。独自のサイトはないので、県のポータルか電話(0267-67-8986)で問い合わせてください。
費用がネックで一歩を踏み出せずにいるご家庭に、まず知っておいてほしい場所です。
フリースペース・えんがWA(安曇野市/NPO法人長野県子どもサポートセンター)
こちらも無料です。医師、公認心理師、保健師、教育カウンセラーら約10名のボランティアが運営しています。開いているのは毎週水曜の13時から16時。
特徴的なのは活動の幅で、長野県動物愛護センターと連携した動物ふれあい体験、高校進学の個別相談会(年2回)、無料の個別相談、学習支援、「なんでも語る会」があります。しかもセミナーは県内6〜7か所を巡回して開催されていて、安曇野市、長野市、上田市、小諸市、朝日村、南箕輪村などで開かれています。
2018年度から長野県の委託事業になっていて、安曇野市教育委員会と連携して巡回スクールカウンセラーも派遣しています。2026年8月にも9月開催のセミナー6件を告知していて、活動はとても活発です。信州型フリースクールの認証施設(居場所支援型)です。
タイプ2:体験活動型|自然のなかで取り戻していくなら
高遠みんなの楽校(伊那市/認定NPO法人フリーキッズ・ヴィレッジ)
費用を先に書きます。1日300円。食費と教材費が込みです。
伊那市高遠町の里山が舞台で、焚き火をしたり、持ち寄った野菜で味噌汁をつくったり。季節の自然をそのまま生活体験にしている場所です。開いているのは月・火・木の週3日、10時から15時半。小学生から高校生相当が主な対象ですが、それ以外も受け入れていて、未就学児も保護者同伴なら参加できます。
信州型フリースクールの認証施設(学び支援型、2024年7月認証)です。2026年度からは「上伊那里親支援センター こごみのねっこ」も新しく始めています。
1日300円で里山の暮らしを体験できる。これは全国的に見てもかなり貴重だと思います。
LIGHTHOUSE SCHOOL(安曇野市)
2019年の記事では「ひかりの学校 あづみの本校」として紹介していましたが、2025年に開設11年目の節目で名称が変わりました。大糸線の中萱駅が最寄りです。
毎日9時から10時に基礎学習をして、そのあとは音楽、ダンス、工作、畑、野外活動、ITといった体験学習が中心。常勤2名と講師3名。掲げている言葉が印象的でした。「最も大事にしている学習は友達を作ること」。
費用の書き方も親切で、住んでいる市町村に補助制度があるかどうかで実質負担がどう変わるかを示しています。補助のある市町村(松本市・茅野市など18市町村と説明)なら実質月約20,000円、補助のない市町村(安曇野市など)なら実質月約27,500円、ひとり親家庭は割引で月約22,500円。
オンラインの無料相談(30分)もあります。ブログは2026年9月10日に更新されていました。信州型フリースクールの認証施設(学び支援型)です。
かたは塾(松本市)
2018年4月に「フリースクールasoviva」から名前を変えました。体験講座(クッキング、理科実験、畑作業、お出かけ、クラフト)と個別学習、親子の野外イベント、進路相談会、個別相談を組み合わせています。小学生から高校生が対象で、9時半から15時半。信州型フリースクールの認証施設(居場所支援型)です。
ひとつ注意点として、所在地の情報が県のポータル(松本市里山辺)と公式サイト(松本市城東)で食い違っています。移転したか2拠点なのか判然としないので、訪問前に確認してください。費用は「支援内容によって異なる」として非公開です。
タイプ3:学習支援型|勉強の遅れが不安なら
NPO法人子どもサポートチームすわ(諏訪市)
算数・数学・国語・英語の個別学習を軸に、居場所としての機能と保護者支援を組み合わせた場所です。対象は小学生から高校生(いきしぶり、不登校、ひきこもり、発達障害)。開所は月曜から金曜の9時半から17時。
費用は月額30,000円の定額制か、1回2,500円の従量制を選べます。体験は3回まで1日1,000円。カウンセリングは一般3,000円/回、会員2,000円/時間。高校進学の支援、親の会、講演会もやっています。信州型フリースクールの認証施設(学び支援型)です。
諏訪市には補助制度があります(後述)。一般世帯でも実質月15,000円程度、要保護世帯なら実質無料になる計算です。組み合わせて考えてみてください。
フリースクール プルーム(長野市)
長野県の公式データベース「となりんぐ信州」に掲載されている団体です。代表が看護師の方で、健康相談や医療機関との連携ができるのが特徴。週1回のミーティングで活動内容を全員で決めます。スタッフと子どもが対等な立場だと明記されています。年齢制限はなく「何歳でも誰でも入会できます」。
ただし注意点が2つあります。所在地が非公開(県のデータベースでも「お問い合わせください」)で、対象地域は長野市とその周辺。そして費用も非公開です。また信州型フリースクールの認証は受けていません。まず電話で相談してみてください。
明光フリースクール 広丘校(塩尻市)
個別指導塾の明光義塾を運営する明光グループのフリースクールです。JR広丘駅から徒歩2分と駅から近く、村井駅や塩尻駅からも自転車で通える距離にあります。対象は不登校の小中学生です。
得意を伸ばし、苦手を克服する個別支援が軸です。勉強の学び直しに加えて、プログラミングやeスポーツといった新しい学びや体験もあります。まだ外に出るのが難しい場合は、提携スクールのオンラインから始めることもできます。
費用は週1回で月20,000円、週3回で月55,000円、週5回で月71,500円(いずれも税込)。週2回・週4回も相談でき、別途入会金22,000円(税込)がかかります。週3回以上のコースはPCレンタル料込みです。月の途中からでも入会できます。
教室見学は平日9時から15時、個別相談は予約制で土日も受け付けていて、オンラインでも相談できます。信州型フリースクールの認証については確認できなかったので、塩尻市の助成が使えるかどうかとあわせて、問い合わせのときに聞いてみてください。スクール長も「フリースクール助成金についてもお問合せ下さい」としています。問い合わせは、広丘校のページから。
タイプ4:訪問・オンライン型|まだ外に出るのが難しいなら
正直にお伝えします。今回調べた長野の施設のなかで、訪問支援やオンライン授業を明示している場所はほとんど見つかりませんでした。LIGHTHOUSE SCHOOLのオンライン無料相談(30分)は相談窓口であって、学習支援ではありません。
長野は県の面積が広く、山に隔てられた地域も多い。通所型だけで探すと行き詰まってしまうご家庭があると思います。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
近くに通える場所がない方、冬の通学が負担になる方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 信州型フリースクールの認証を受けていますか
長野ではこれを最初に聞いてください。認証施設は県の基準を満たしていて、県のポータルにも掲載されています。松本市や諏訪市の補助金は「認証施設の利用料」を対象にしているので、補助を受けたいなら認証の有無が決定的に重要です。
2. 一日の流れを具体的に教えてください
時間割があるのか、来た子が自由に過ごすのか。ここがタイプの違いそのものです。「自由です」と言われたら、実際に昨日はどんな一日だったかまで聞いてみてください。
3. 週に何日、何時から何時まで開いていますか
長野は週3日・午前のみといった場所も多いので、必ず確認してください。毎日の居場所がほしいのか、週1回でいいのかで選ぶ先が変わります。
4. 冬はどうなりますか
長野ならではの質問です。積雪や凍結で通えない日の扱い、送迎の有無、暖房費が月謝に含まれているか。冬を越せるかどうかで続けられるかが変わります。
5. 在籍校への報告書は出してもらえますか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。「出せます」だけでなく、実際の書式を見せてもらえると確実です。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
長野の補助金は、住む市町村で決まります
ここが長野でいちばん知っておいてほしいところです。
まず整理すると、長野県の補助は「施設向け」です。信州型フリースクール認証制度にもとづく運営費補助で、居場所支援型に年48〜60万円、学び支援型に年140〜200万円。保護者への直接の助成ではありません。
県は2026年1月に公表した調査結果を受けて、「市町村による利用料支援の後押しや支援制度の周知向上に取り組む」という立場を示しています。つまり保護者への補助は市町村ごとということです。
確認できた制度を挙げます。
松本市は補助対象経費の2分の1以内で月上限15,000円。信州型フリースクールの認証施設の利用料に限るという条件があります。市税の滞納がないことも要件です。半年分をまとめて11月末頃と4月末頃に支給されます。
諏訪市は設計が丁寧です。月額利用料3万円を限度に、世帯区分で補助率が変わります。要保護世帯は100%、準要保護世帯は75%、その他の世帯は50%。つまり一般世帯でも実質月上限15,000円、要保護世帯なら実質無料です。申請日前1年以内に在籍校へおおむね30日以上登校していないこと、原則として認証フリースクールに月1回以上通所していることなどが条件です。
高森町は1日あたりの支払経費の2分の1で月上限10,000円。中野市は利用料の2分の1または10,000円のいずれか少ない額。茅野市と東御市にも制度があります(金額は未確認)。
一方、安曇野市のように制度のない自治体も多く残っています。LIGHTHOUSE SCHOOLが「補助のある18市町村」と説明していることからも、県内77市町村のうち大半にはまだ制度がないことが分かります。
ですので長野では、施設を探す前に、お住まいの市町村の教育委員会に「フリースクール利用料の補助はありますか」と電話することを強くおすすめします。県の調査で54%の家庭が「知らない、または制度がない」と答えているとおり、制度があっても届いていないのが現状です。
なお、発達に特性があって受給者証が取れる場合は、放課後等デイサービスという選択肢もあります。費用は世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料です。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
長野で心強いのは、県の公式ポータル「kikka☆link」(信州型フリースクール等情報ポータルサイト)があることです。エリア別・支援分野別に認証施設を検索でき、認証制度の申請要綱や調査資料、実践事例の記事まで載っています。運営は長野県県民文化部こども若者局次世代サポート課(026-235-7207)。2026年9月にも新しい認証申請の受付が始まっていて、現役で動いているサイトです。
県が基準を定めて認証した施設が一覧で分かる。これは親御さんにとって、とても分かりやすいしくみだと思います。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
長野全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事ではタイプ別に8つの場所を紹介しましたが、信州型フリースクールの認証施設は52か所あります。前述の県ポータル「kikka☆link」で、お住まいのエリアから探してみてください。2019年当時にはなかった新しい場所もたくさん生まれています。
お住まいの市町村で探したい方は、明光フリースクール公式メディアの長野県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
長野県が県として認証制度をつくり、施設を支え、一覧を公開していること。そして1日300円で里山に通える場所や、実質無料の場所があること。全国を調べてきたなかで、長野は明らかに一歩先を行っています。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























