こんにちは、小幡和輝です。
僕は約10年間の不登校を経験しました。当時学んでいたのがフリースクールで、そこで過ごした時間が今の自分をつくったと思っています。その後は定時制高校を経て、国立大学に進学しました。いまはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」の代表として、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
この記事は2019年に書いたものを、2026年9月に全面的に書き直しています。
佐賀を調べ直して、いちばん評価したいのは県が公式に9つのフリースクールを一覧にしていることです。しかも、それを載せているのが「保護者のための不登校対応支援ガイド」という、保護者向けにつくられた資料だという点が大きい。
この意味を説明させてください。多くの県では、フリースクールの情報は「教育委員会の施策ページ」の奥のほうに置かれています。制度の説明として書かれているので、探している保護者には届きません。佐賀は「保護者が読むための冊子」に、施設名と住所と対象学年と電話番号を並べて載せています。これは設計思想の違いです。
同時に、佐賀には課題もあります。9施設のうち6施設が佐賀市に集中していることと、県の一覧に料金の欄がないことです。この2つは正直にお伝えします。
そのうえで、大前提をひとつ。フリースクール選びは「どこがいいか」ではなく「どのタイプがうちの子に合うか」で考えたほうが、うまくいきます。評判のいい場所に入れても、その子がいま必要としているものと違えば続きません。
佐賀のフリースクールは、大きく4つのタイプに分かれる
同じ「フリースクール」という名前でも、中でやっていることはかなり違います。おおまかに分けると次の4つです。
学習支援型は、勉強の遅れを取り戻すことに重心があります。個別指導が中心で、進路の相談にも強い。
居場所型は、まず安心して過ごせる場所をつくることを大事にします。何をするかは本人が決める。勉強しない日があってもいい。
体験活動型は、自然体験やものづくりといった活動が軸になります。
訪問・オンライン型は、通わずに家で受けられる形です。
タイプに優劣はありません。そして、いま合うタイプと半年後に合うタイプは変わります。最初の一つで決めきらなくていいんです。
佐賀県が公表している9つのフリースクール
県の「保護者のための不登校対応支援ガイド」に掲載されている9施設を、地域ごとに紹介します。
佐賀市エリア(6施設)
フリースクール しいのもり(佐賀市大和町久池井/080-4474-7620)
対象は小学生・中学生。大和町は佐賀市の北部、川上川沿いの地域です。市街地から少し離れた環境にあります。
NPO法人ただいま(佐賀市水ケ江/080-5274-7867)
対象が小学生・中学生・高校生と、9施設のなかでもっとも幅広い施設のひとつです。
「ただいま」という名前が、この団体の考え方を表していると思います。帰る場所である、ということです。
フリースクール ポラリス(佐賀市栄町/0952-37-0877)
対象は小学生・中学生(高校生も一部対応)。栄町は佐賀駅の近くで、公共交通でのアクセスがしやすい立地です。親の送迎に頼らず本人が通える可能性があるのは、中学生以上のお子さんには大きな利点です。
フリースクール クラッソ(佐賀市大和町川上/0952-37-7205)
対象は小学生・中学生。川上は大和町のなかでも山寄りの地域です。
フリースペース ハッピービバーク(佐賀市青少年センター内/080-4310-3277)
注目してほしいのは「佐賀市青少年センター内」という所在地です。公的な施設のなかで運営されているということで、これには2つの利点があります。
ひとつは、公的な場所なので子どもも親も入りやすいこと。「フリースクールに行く」と言うのに抵抗がある子でも、「青少年センターに行く」なら心理的な壁が低い。
もうひとつは、行政との距離が近いことです。学校や教育委員会とのやりとりが必要になったとき、この距離は効いてきます。対象は小・中・高校生。
日輪スクール for KIDS(佐賀市鍋島町森田/0952-97-8937)
対象は小学生・中学生。鍋島町は佐賀市西部、佐賀大学医学部附属病院のある地域です。
フリースクール エコールルミナ(佐賀市八戸溝/090-1369-3660)
対象は小学生・中学生。八戸溝は佐賀市中心部の西側です。
鳥栖エリア
鳥栖とどろき塾(鳥栖市宿町/080-4607-7501)
対象は小学生・中学生。県東部で県の一覧に載っている唯一の施設です。
鳥栖は福岡県との県境にあり、福岡市・久留米市へのアクセスがいい地域です。佐賀市まで通うより、福岡側の施設のほうが近いというケースもありえます。選択肢を佐賀県内に限定する必要はありません。
県西部エリア
十月の森「みんなの学校」(武雄市山内町三間坂ほか/0954-45-3232)
対象は小学4年生から中学3年生と、はっきり区切られています。年齢の幅を絞っているということは、その年代に合わせた設計をしているということです。
山内町は武雄市の北部、山あいの地域です。「十月の森」という名前からも、自然環境のなかでの活動が想像できます。県西部(武雄、伊万里、有田、嬉野)では、県の一覧に載っている唯一の施設です。
タイプ:オンライン|通える場所が近くにないなら
ここまで読んでお気づきかと思いますが、佐賀は施設の地理的な偏りが大きい県です。
9施設のうち6つが佐賀市。残りが鳥栖市と武雄市。つまり唐津市、伊万里市、多久市、小城市、神埼市、嬉野市、そして玄海町・有田町などの町部には、県の一覧に載っている施設がありません。
とくに唐津は、県内第2の都市でありながら一覧に施設がない。ここは正直に書いておきます。
クラスジャパン小中学園(オンライン)
冒頭に書いたとおり、僕が代表を務めているサービスです。完全オンラインのフリースクールで、家にいながら参加できます。在籍校で出席扱いになる仕組みを整えていて、これまで2000人以上の子どもをサポートしてきました。
唐津、伊万里、鹿島など、近くに通える場所がない地域にお住まいの方、まだ外に出るのが難しい段階のお子さんには、入口として考えてもらえたらと思います。
そして、隣県も選択肢に入れてください。鳥栖からは福岡県(久留米・福岡市)、伊万里・有田からは長崎県(佐世保)が近い場合があります。県境で選択肢を切らないほうがいいです。
見学のときに、必ず聞いてほしい5つのこと
ホームページとパンフレットだけでは、その場所の本当のところはわかりません。運営する側になって、余計にそう思うようになりました。見学に行ったら、この5つは必ず聞いてください。
1. 費用はいくらですか
佐賀ではこれを最初に聞いてください。県の一覧には料金の欄がありません。施設名、住所、対象学年、電話番号は載っていますが、月謝はわからない状態です。
ですので、見学に行く前に必ず電話で総額を確認してください。入会金、月謝、教材費、活動費。全部あわせていくらになるのか。ここを曖昧にしたまま見学に行くと、子どもが気に入ったあとで費用の問題が出てきて、いちばんつらい断り方をすることになります。
2. 週に何日、何時から何時まで開いていますか
毎日の居場所がほしいのか、週1回でいいのかで選ぶ先が変わります。「自由に来ていい」と言われても、実際に開いている日が週2日なら、それが上限です。
3. 在籍校への報告書は出してもらえますか。実績はありますか
出席扱いを考えているなら必須の確認です。佐賀では、出席扱いについて公式に情報を出している施設が確認できませんでした。県の一覧にもその欄はありません。「出せます」だけでなく、これまで何校で認められたかまで必ず聞いてください。
4. 対象学年に、うちの子は入っていますか
佐賀ならではの確認です。県の一覧には対象学年がはっきり書かれています。小学生・中学生のみの施設が多く、高校生まで対応しているのはNPO法人ただいまとハッピービバークです。十月の森は小4から中3。高校生年代のお子さんは、選択肢がかなり絞られます。
5. いま何人くらい通っていて、どの学年が多いですか
定員ではなく実際の人数です。中学生の子が行って、来ているのが小学生ばかりだと居づらい。その逆もあります。
そしてもう一つ。必ずお子さん本人を連れて行ってください。親御さんが気に入った場所と、本人が居心地よく感じる場所は、驚くほど一致しません。本人が玄関で足が止まるなら、それは答えです。
佐賀の補助金と、公的な支援について
正直にお伝えします。佐賀県には、フリースクールの利用料を補助する制度が確認できませんでした。県教育委員会のトップページにも、不登校関係のページにも、補助金の記載はありません。
ですので、費用はご家庭の負担になります。そして前述のとおり、県の一覧には料金が書かれていないので、事前に自分で確認する必要があります。
そのうえで、費用を抑える方法を3つ挙げておきます。
ひとつめは佐賀県教育支援センター「しいの木」です。県が設置している教育支援センターで、電話は0952-62-8141。「登校できない子どもたちへの個別支援や、小集団での活動を通して集団生活に適応する力を育む」ことを掲げています。公立なので原則無料です。
県が直営で教育支援センターを持っている県は、実は多くありません。市町村任せにせず県が自分で運営しているというのは、佐賀の特徴です。
ふたつめは各市町の教育支援センターです。県教育センターが一覧を公表しています。こちらも原則無料。民間の施設が近くにない地域(唐津、伊万里、多久など)にお住まいの方は、まずここを確認してください。民間の一覧に空白があっても、公的な教室はあります。
みっつめは放課後等デイサービスです。発達に特性があって受給者証が取れる場合、世帯年収が約890万円までなら月額上限4,600円、非課税世帯は無料で使えます。「フリースクール」という名前ではありませんが、日中の居場所として機能している事業所は県内各地にあります。
そして相談先として、佐賀県教育センターの電話相談(0952-62-2189)と、親の会「ほっとケーキ」(不登校・ひきこもりの子を持つ保護者の会)があります。
親の会を軽く見ないでください。実際に子どもを通わせている保護者が、いちばん正確な情報を持っています。県の一覧に載っていない場所、最近できた場所、いま受け入れを止めている場所。ホームページではわからないことが、そこでわかります。
在籍校で出席扱いにしてもらうには
フリースクールに通った日を、学校の出席として認めてもらえる制度があります。文部科学省が要件を定めていて、最終的には在籍校の校長先生の判断で決まります。
手順はシンプルです。まず、通おうとしているフリースクールに「在籍校への報告書を出してもらえますか」と確認します。次に、在籍校の担任の先生に「この場所に通いたい」と相談します。そのうえで、フリースクールから毎月の活動報告が学校に届く形をつくる。これで校長先生が認めれば、出席として記録されます。
佐賀で使える材料がひとつあります。県の「保護者のための不登校対応支援ガイド」に載っている施設だ、と説明できることです。県教育センターが発行している公式の冊子に掲載されているということは、県が存在を把握しているということです。学校に説明するときの根拠になります。
ただし、佐賀では出席扱いの実績を公表している施設が確認できませんでした。これは各施設に直接聞くしかありません。前例が少ない場合、保護者が学校と交渉する負担が大きくなります。最初から担任・学年主任・管理職と順に話を通していく心構えでいてください。
ひとつだけ言わせてください。出席日数のために子どもを追い立てないでほしいと思っています。出席扱いはあくまで、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。
佐賀全域から、もっと網羅的に探したい方へ
この記事では、県が公表している9施設を中心に紹介しました。県の一覧は「保護者のための不登校対応支援ガイド」(佐賀県教育センター発行)に掲載されています。この一覧に載っていない施設もありますので、お住まいの市町から探したい方は、明光フリースクール公式メディアの佐賀県のフリースクールと補助金一覧もご覧ください。
最後に
僕が不登校だったころ、親は相当悩んだと思います。でも最終的に「行かなくていい」と言ってくれました。あの一言がなかったら、今の僕はいません。
学校に行かない選択が、その子の可能性を狭めていいはずがありません。学ぶ場所は、学校以外にもあります。フリースクールはその一つです。
佐賀を調べていて、僕がいちばん良いと思ったのは「保護者のための」という冊子の名前でした。行政の資料はふつう「〇〇に関する取組について」といった名前になります。誰に向けて書くのかを最初に決めて、その人が読む冊子のなかに施設の電話番号を並べた。その判断をした人が佐賀にいたということです。
あとは料金が載れば、もっと使いやすくなります。それは県に伝えていけばいい話です。
そして繰り返しますが、最初に選んだ場所が合わなくても、変えていいんです。合わなかったのは、その子のせいでも、その場所のせいでもありません。ただ、まだ出会えていないだけです。
この記事が、その出会いの手がかりになればうれしいです。





























